ハンバーガーストリート

vol.11

―― 亜種・貴種編 ――

……ファーストフード各店が展開する別業態の店舗など

'07.9.17 モスバーガーオーシャンカフェ江ノ島店 updated

FRESHNESS CAFE

[渋谷]
# 23

 猥雑な道玄坂を登り切ったところにあるクリーム色のフレッシュネス。コンクリ打ちっ放しの床、それをペンキで塗った壁・天井。チョイ前時代のセンス(ミッドセンチュリー)でまとめたインテリア。それはそれは広々と立派なカウンター越しのオープンキッチン。パティ焼く鉄板もまた広々。スタッフはチョイセンス良くてカッコイイ渋谷系がキッチンの中に2人。

 ココはバーガー出来ても持って来てくれない。注文生産な上、パティはきちんと鉄板で焼くので出来上がるまで10分はかかるというのに、それでもキッチンの中から呼ぶだけで持って来てはくれない。なので取りに行く。しかも大声張り上げて一生懸命呼んでくれるワケではない。スピーカーからはチョイクラブ系なレゲエがかなり大きく流れており、かつ私の占めた席はキッチンとの間に壁一枚挟んだ位置なので、何か言ってるな……くらいにしか聞こえない。なのでドリンク飲んでくつろぎつつも、いつバーガー出来るか……と絶えず聞き耳を立てていなくてはならない。加えて言えば、持たせた札の番号で呼び出す――などと言うような無粋なシステムをこのオシャレなカフェが取り入れよう筈がなく、よって「気配でカウンターまで行ってみたら前の人のだった……」なんて、お店と店員のカッコ良さに比べればお客はヒドクみっともない連中ばかりである。ガムシロ、砂糖はじめ諸々すべてセルフ。アイスのカフェラテ頼んだらグラスではなくプラスチックの容器で出て来たのには軽い目まいを覚えた。コーヒー然り……アレ?レギュラー店はどれもグラスにカップだったよね?基本的に逆行くのがコンセプトらしい。まあスタバと思えば良いのだが……

 チーズバーガー\840。白いプレートに乗って。付け合せにクルリと巻いたフレンチフライ。小さく切ったレタスもバーガーの外。あとお好みでオニオンのよく効いたマヨネーズ……なのかなぁ?バターなのかなぁ?調べたのだがコレが何なのか、どう使うのか、結局わからず。コノ店ではそういうコトも言い添えてくれない(仕方ないのでナイフを取って来てバンズの裏に塗ってみる)。上のバンズ(crown)は斜めに傾けられて、まだバーガーの上には乗っていない状態。レタスを挟んでから閉じるワケ。しかしここまでデコレーションされたバーガーを自らテーブルまで運ぶというのも初めて。

 中身――まず例の柴漬け食感のピクルス。トマト、オニオンはソテー、チーズ、パティ。基本的にはレギュラー店のチーズバーガー\320をふた回り大きくした感じ。バンズは温かくなく常温。レギュラー店のチーズ……と同じドーム状、栗カボチャ入り。パティは柔らかく食べやすいが、レギュラーのモノと比較して歴然とした差を覚えるまでではない(レギュラー店のパティでも十分美味)。どうも柴漬けピクルスがまるで……そう、生姜!ガリのような、あっ……食べてはいけないものを食べたかな……みたいなピリッとスティミュラスな味を一瞬発するのにはエラク違和感を覚える。オニオンもソテーしてる割りには歯ごたえがあり過ぎ、同様に違和感。あとこのバーガー、よく崩れる。レタスもオニオンも端からポロポロ……。型崩れしないのも"技術"とわかった以上、見過ごしにするワケにはいかない。いつになく辛口だが、これだったらレギュラー店で普通に食べてる方が数十倍美味しく、かつくつろげるだろう。「暖かみのあるアーリーアメリカン調で親しまれている通常のフレッシュネスバーガーとはイメージを変え……白と黒、アルミで店内を統一したNORTH SIDE(ニューヨーク、シカゴなど)TYPEの店づくりをしています……」と公式サイトで語られるとおり、デザインのみならずサービスにおいてまで「暖かみ」を取り去ってしまった、そんな店。

 なお道玄坂店の看板には"FRESHNESS BURGER Cafe"とあるのだが、公式サイトに倣い"FRESHNESS CAFE"と表記した。営業時間朝8時−翌朝5時。上野にもある。……まあ味もサービスも落ちたスタバがフレッシュネスの倍の値段で作り立てのバーガー出してると思えば良いのかな?……行く?

2004.12.4 Y.M

MOS's-C

[神楽坂]
# 66

 【モスズ・シー】……モスフードサービスの新規事業。「古き良き時代のアメリカにはじまり、現代にいたるまで世界中の人々に愛され続けているハンバーガー。その原点であるアメリカン・クラシック・スタイルを追求したハンバーガー・レストランです」――店の名前が「MOS's-C神楽坂店」なので、所在地は"神楽坂"とするけれど、今なら都営大江戸線牛込神楽坂駅がどこよりも近い。

 ちょっと年季のいった……って言うか、オープンして5年目くらいのステーキ屋、あるいは牛角みたいな風情の店(実際、今年で6年目なのだが)。メニューもインクジェット出力で、冴えないステーキ屋みたい。木製のブラインド、アルミの窓。ベージュと言うか、カーキ色と明るい茶色を基調にした店内。奥の壁には無音声で映画を映し出すプラズマテレビ。オープンキッチンの奥の暗がりには巨大なオーブンがオレンジの光を放っているのが見える。まず着席、その後店員が注文を取りに来、会計はレジで支払うスタイル。なので各テーブルにメニューが置いてある。なので普段より長〜くメニューを覗き込む……バーガーメニューはクレソンバーガー、タルタルバーガーなど15種、スモークチキンを入れると17種。さらに和牛のパティを使ったメニューがある。「アメリカン・クラシックSTYLEと和牛のコラボレート。徹底的においしさを追求した、こだわりの味とボリュームをぜひお楽しみください」、中から……和牛チーズバーガー\1,080を。しかも現在和牛フェアとのことで\200 OFF!ミニポテトとミニピクルスが付け合せ。

 ココのバーガーがまた変わっている。串が2本刺さって出て来る――フォークとナイフで2つに切り、バーガーパックに入れて食べるのだ。仰せのままに2つに……切るとき、レタスのシャク!という音が心地好い。でも2つに切っちゃうとかぶりつく醍醐味には欠けるね……う〜ん、やや不完全燃焼。自慢のソフトフランスタイプのバンズは上品な光沢のフカ系。表面何も飾るものナシ。濃い香りがするが、しかし重過ぎず、モサつかず、なかなかバランスが良い。以下マスタード、チーズた〜っぷり、パティ、レリッシュ、オニ、トマトは小さ目のがヨコに×2、レタ、マヨ、バンズ(heel)。和牛パティは匠味の優等生なソレとは違い、ちょっと荒れた感じでゴロッと美味しい。ブラックペッパーの香りも程好く。マスタードもケチャップも旨味を活かした抑え目の味付け。野菜も量よく味よくバランスよく、久々に均整の取れたバーガーを口にした。

 そうね……当企画内のめぐり合わせという部分もまずあるのだけれど、ひと通り方々周った後ではモス・特別編!というまでのインパクトは受けなかったかな?またモス自身も'99年6月のMOS's-C神楽坂店オープン後、「'03年1月“ディナーセット”全国約1,000店舗導入」「'03年8月“ニッポンのバーガー匠味(たくみ)”新発売」「'04年2月ファストカジュアル業態“緑モス”1号店 新橋二丁目店オープン」――という具合にファストカジュアル路線、グルメバーガー路線を次々打ち出してゆくその後の経緯があるワケで、そういう意味でコノ店は、今日なお続くソノ流れの中にあって、ある種パイロット的役割を果たしたのかも知れない――な〜んていつになく真面目ですが……。他に吉祥寺店もアリ。BGM――スタイリッシュにソウル/ブラックch。

2005.5.30 Y.M

ONE'S DINER

[千駄ヶ谷]
# 67

 FRESHNESS CAFE以来2度目登場、株式会社フレッシュネスの別事業。「1950年代のアメリカンダイナーをアレンジした店内でボリュームたっぷりの料理をお楽しみいただけるレストランです」……ほぉ、こーゆーのが50's テイストなワケね?千駄ヶ谷二丁目、すぐヨコにトンネル。上は仙寿院というお寺の墓地だろうか。トンネルをくぐるとビクター青山スタジオ……そう、例の鉄則のとおり、心底ひと気のない……と言うかうら寂しい場所に在る、角地を使った、そう広くない店。入ると扇型のキッチンが。入口ヨコの柱に店のデザインのお手本にしたのであろう、アチラの街のコーヒーショップの写真が飾ってあるのだが、まー確かに見事ソックリ!イメージで言うと、昔、新幹線とか旅客機の内装によく使われてた合成樹脂の化粧パネル……わかる?見るからに安っちくて退屈な素材で、継ぎ目に金属の桟が通してあるヤツ……アレをワザと使ってるのネ。窓に下がるブラインドのまぁ細いコト!床は白黒タイル。ビニール製のソファ、そしてスチール製品の数々――コノ人工物の多さが50年代?

 ココもまた使い古したメニュー。肝心のバーガーメニューはボロッボロの紙切れ一枚。チーズバーガーコンボ\850。すべてコンボ売り……と言ってもフレンチフライが付属なだけなのだが。おともにアイスフレッシュミントティー\530。

 やはり血は争えぬ……出て来た皿はFRESHNESS CAFEによく似ている。バンズの間に挟まれているのはチーズとパティのみ。レリッシュ、トマ、オニ、フリルレタスは外付け。客自ら組み立てる式。くすんだ茶色のバンズは表面ケシの実……つまりあんぱん状。しかもあんぱんのようにほのかに甘い。レリッシュ(ピクルスのみじん切りをそう呼ぶなら)、トマ、オニ、フリルレタス、チーズ、パティ。レリッシュは例によって柴漬け食感ガリ味。真っ白いタマネギの輪切りは生で辛〜っ!野菜はどれも乾き気味。せめて出す前に霧吹き吹きかけるとか、ウソでもシズル感は欲しいところだ。パティも同様にドライ。旨味は無くは無い……けど淡白。現にキッチンからは、肉を焼く軽快な音こそ聞こえ、胸躍るような肉のニオイは漂って来ない。FRESHNESS 別ヴァージョン……と考えると、ちょっと物足りないか。皿に「ONE'S BURGER」とある。コレ、かの白山のONE'S DRIVEのかつての店名である。いいのか……って、そもそもが一般名詞なので、ま、良いも悪いもないのだろうが。ただややこしい。アルコール類800円前後。MOS's-Cでは600円前後だったネェ……。BGM――FENみたいなラジオ番組の有線で、店入るなりシンプルマインズの「DON'T YOU (FORGET ABOUT ME)」がかかっていてメチャメチャかっこ良かった!……ってトコまでは良かったのだが――

2005.6.1 Y.M

Lotteriaplus+

[高田馬場]
# 84

 昨年7月7日のオープン直後にすぐ行くようなことを書いておきながら、「レポートをお待ちあれ」ぐらいなことを公言しておきながら、結局1年放ったらかしにしてしまった店。ところがその間に、北は苫小牧から南は福岡まで全国15店舗に増えていた……この展開は意外!限り無くこの1店キリかと思っていたので――大ハズレ(予想がネ)。都内には2店。初志貫徹すべく、もちろん1号店=高田馬場へ。
 ホームページでは高田馬場店のみメニューが他店とは別扱いになっており、1号店への思い入れの深さが窺える。BIG BOXの横の坂を上ってすぐ。冷静に考えると坂の途中の立地なんて、なかなか魅力的である。例によって60年代的アメリカン・モダンなインテリアを基調に、抑えた照明でスタバ風にユルユルと席を配したカフェ。そう――ココはカフェ。なのですぐ隣のKFCとは客層がまるで違う。こどもが居ない。奥半分はガラスで仕切られた喫煙スペース。BGMにジャズピアノがポロポロと流れ、居心地はかなり良い。ホント、スタバがバーガー売ってるような感覚。よく冷えたショーケースの中にはサラダやスイーツが。

 セルフ。レジで注文、バーガーは割りとすぐに出て来る。グリルドチーズバーガー、セット\600、単品\260。またはよろしくバスケットに入り、不必要に立派なバーガーパックに包まれ登場。フォンデュのようなペースト状のチーズソースが入る。バンズは相変わらずのノドに詰まりそうなアレ。白ゴマも健在。中身はチーズソース、踊るレタ、マヨ、パティ、スライスチー、下バンズ。チーズソースはレタスとの相性が良く、むしろさっぱりとした味わいをもたらす。ZESTにもブルーチーズのフォンデューとロメインレタス――というメニューがあったが、この取り合わせは案外とイケル。特製パティはその名に恥じず存在感バッチリ。レギュラーのモノよりふんわり柔らかく、食べやすい。チーズソースとマヨネーズ主体の塩味のバーガー。\260にしてなかなか……

 勢いに乗ってもう1個、チーズバーガー\180。このクラスになるとレギュラー店と共通のタマネギの絵の包みに退化。中身は特製ソース、オニスラ、パティ、チー、下バンズ。特製ソースは至極レトルトな味のするハッシュドビーフ風。このレトルト風味ばかりが強烈で、しかしその割りには全体を占めるような野心もない。レトルト臭さえ取り除けば、実は甘い味のするソース。パティも薄っぺらなレギュラー仕様に戻り、強いて言えばオニオンスライスがちょっとだけ活躍しているか。コノ店に来たら折角なので200円より上のバーガーを食べることを薦める。しかしま、どちらのバーガーもソース一発の使い方に活路を見出そうとしている点で、同じに思えるのだが……。付け合せのポテトはガーリックペッパー??スナックのような味で付け合せの分を超えている

 こんなイイ感じの店のつくりで100円台のバーガーが食べられるのはプラスとも受け止められる。が……されどもっと「バーガー専門店」に特化しても良さそうなものではある。いやでも某Fカフェのように、構えと値段はたいそう立派でも、出てくるものは……なんて思われるよりは、コノ程度で巧くまとめておいた方が無難か。その辺のせめぎ合いにロッテリアがつけた決着がコンナ感じと。それでもココまでの店がつくれるのなら、いっそロッテリア臭をもっと薄めても良かったのでは……とは、やはり心の何処かでどうしても思ってしまう。複雑ぅ〜

2005.8.22 Y.M

SanteOle Cafe

[沼袋]
# 85

 巣鴨へは二度も行ってしまった。そして結局明治サンテオレは発見出来なかった。なぜなら今年の6月20日に閉店していたので……えーっ!そりゃナイぜよ〜!なにしろ巣鴨にはかつて収容所が……ではなく、明治サンテオレ株式会社(2003年3月1日東京明治フーズ(株)と合併し存続会社は同社となる)があったくらいの、文字通り"拠点"なのである。本丸が撤退してどうする……

 やむを得まい。二度まで追い求めた店だ。こうなりゃ執念――あらためて店舗を検索し、都内に1店を発見。西武新宿線の「沼袋」なんて聞いたこともない駅を目指して移動することに。こんなコトでもなきゃ一生知ることすらなかったであろう駅である(←言い過ぎ?)。高田馬場から案外と近いことが判明、全く未知の路線だけにやや安堵。各停のみ停車する小さな駅に降り立つと、広場とは絶対に呼べない駅前の"ネコの額"は、折しも氷川神社のお祭りで大いに賑わっている。細いバス通りをやや歩くと目標らしき店を発見。ところが……看板には「SanteOle Cafe」とある。ひょっとすると……ココは最早明治サンテオレではないのである!阿茶〜っ!つまりは無駄足?いやいや、ともあれ中へ。
 外からは2、3席ほどしか見えなくて、ずいぶん細々やってる店だなぁ……などと思って入ったら店内にはL字型に奥があり、外人さんが独りコーヒーを飲んでいた。レジより手前のスペースは白色の蛍光灯で雰囲気も何もあったモンではないが、奥まったその一角は暖色系のライティング、一応落ち着くつくりにはなっている。全部で10席はあろうか。BGMはJ-POP――遮る会話もないため丸聴こえ、つい何時になく真剣に聴き込んでしまった。

 チーズバーガー\330。アイスティー\240はグラスで出て来て早速のポイント。バンズは当店オリジナル酒種天然酵母パン、表面半ツヤで飾りナシ、香りが良くて、モノはなかなか。中身はマスタード、厚手のレタ、レリ、これまた分厚く切ったトマ、オニスラ、チー、パティ、下バンズ。肉厚のレタスはボリュームたっぷりで、完熟ではないがそれなりにみずみずしいトマトの軽い酸味と相俟って、フレッシュな印象。これでもう一押し、味の強いソースなど姑息に加えればもっと人気は上がるんだろうが……。100%国産牛肉パティは可も不可も無いか。しかし\330は野菜の鮮度を思えば安い。この生真面目な作り方は、バス ストップ辺りに通ずるものがある。

 帰り際にちょっと話を聞くと、"上"が無くなってしまった為、コノ店は2年ほど前から半独立の状態にあるそうで、他の生き残りサンテオレには無いオリジナルメニューも出しているんだとか。つまり私が目指してきた明治サンテオレは此処には無く、しかし旧主の味と支援を半ば仰いだ形の独立店が在ると……う〜む、実に微妙である。この店構えとちょっとした心意気は既にチェーン店のそれではなく、街のハンバーガーショップのものである。一方で未だに昔の名前で出続けている……悩んだ末、当企画上は「亜種」として取り扱うことにした。とは言え"明治時代"の(←意味が違う!)やり方にとらわれること無く振り回されること無く、どうかもっと大胆に討って出て、更なるオリジナルの美味しさと楽しさを追い求めていって欲しいものである……なぁんて何だか思わず応援したくなるような、そんな店。

 かくして沼袋に明治サンテオレはなかった。ゆえに我がサンテオレ探しの執念の旅は続く……(つづく)

2005.8.24 Y.M

モスバーガーオーシャンカフェ江ノ島店

[片瀬江ノ島]
# 187

 一応続いてるんですよ――特集、"海にハンバーガー"。一回目が竹芝のC4U、二回目が豊洲のOCEANS BURGER INN。で、みたび海の見えるバーガーショップへ。


●晩夏

 小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅のフォームに降り立てば、とたんに空気はじとっと湿り、134号線を渡って鵠沼(くげぬま)海岸に臨む堤防の上に立つと、着ているものが急に重たくなる。むせ返るような潮風――もう夏も終わりと思うと、余計に息苦しく感じられる。




 夕方、もう浜に人はいないかなぁ……と思っていたら、それでも↑これくらいの人たちが、傾く西日を浴びながら渚に戯れていた。海の家は↓とうの昔に店じまい。まだこんなに暑いのに……





 今日の波が良いんだか悪いんだか、波乗りでない私には皆目見当が付かないのだが、それでも↑これくらいのサーファー達が、押し寄せる波に果敢に挑んでいた。気温も日差しもまだまだ夏のように思えるのだが、しかし「もう夏終わっちゃったネ」モードが、どうにも逆らいようのない事実として、波打ち際に佇む彼ら全員の肩の上に等しく降りてきているようにも見えた。どこか漂う寂しさと諦め――でも波乗る分には、むしろ9月の方が乗りやすいゾと。


 

●ディック・ブルーナモデル

 国道134号線沿い、新江ノ島水族館をやり過ごして、さらに先。どうせ歩速は緩まるだろうから、駅からは12〜13分はかかるだろう。今の時期なら観光客・行楽客より地元使いがメインかも知れない。2階建て。最先端の建築技術を駆使して、チャチャッといとも簡単に造り上げた風ではあるが、最近はこんな手っ取り早い店舗がすっかり主流だ。

 昨年7月にオープンした次世代型ファストカジュアルの実験店舗である。なので「オーシャンカフェ」と名の付くモスバーガーは、ココ湘南にしかない。

 東京の国立(くにたち)店に続く「ディック・ブルーナモデル店舗」の2号店でもある。オランダの絵本作家、ディック・ブルーナ氏(「ミッフィー」の作者ね)のイラストレーションが大きく壁に数点、食器などにもほどこされている。

 店内114席。テラス席と2階席があり、2階にもテラス席がある。

 1階は吹抜け。明るい色のウッドの椅子机が並ぶ、心地好いカフェであることに違いはないのだが、いまどきの図書館や地域センターのようでもあり、また保育所なんかもこんな感じだろうか。その辺のデザインの境は最近ほとんど無くなってきているように思われる。しかし空いてさえいれば、ココは相当に居心地の良い空間である。地元の人は重宝していることだろう。


●実験店舗

 オリジナルメニューが目白押し。「江ノ島ロコモコ」と銘打って、ロコモコ3種\880。えびとアボカドのコブサラダなど、ごちそうサラダ3種\580。メニュー構成上、これらの方が本来の主役であるバーガーより上の扱い。見渡すと、どうも皆さんロコモコ率が高いようで。

 冷蔵ケースにはケーキが4、5種類。スムージー\420〜も通常店舗には無いんだっけ?さらにはビールもありまして、生ビール\550はハートランド、他に世界のビールが数種。とどめはフローズンカクテル\600。江ノ島ブルーだなんて、カクテルもオリジナルですね?なんだか他店には無いもの尽くし

 さて脇に回ったハンバーガー。こちらは特別なことはなく、普段どおり。今年'07年4月13日に牛豚合挽きのパティに変更して以降、私は初のモスである。なのでモスチーズバーガー\330と、これまた江ノ島オリジナルのアイスマンゴーフルーツティー\350で勝負。


●ミートソース

 セサミなし、ツルンとした表面のバンズの下にいきなりトマト、ミートソース、刻んだオニオン、マヨネーズ、チーズ、パティ、マスタード、下バン。バンズの変な弾力に普段食べなれない違和感を覚えつつ、話題のパティについては、合挽き臭を多少感じるものの、特に可も不可も無し。以前の牛肉100%パティと比較できるほどの記憶がないことでもあり、と言うかまぁパティの存在はこの際どちらでもよい。

 とにかくおいしいのはミートソースとそこに絡むマヨネーズ、そして刻んだオニオンのシャクッと心地好い歯応えだ。コレらはわかりやすくおいしい。このソースにパンを添えるだけで、別にバーガーの体(てい)を為していないくても良いような気がする。まぁそれくらいモスバーガーの主役はソースである。あとマスタードも有っても無くても……というビミョウな立ち位置だったか。


●惜夏

 この江ノ島店のメニューは、どこか他の店と共通しているのだろうかと調べてみると、先述の国立店のほか、昨年'06年12月13日にオープンした「モスバーガー銀座カフェ」とも一部共通していることが判明(銀座店には「銀座ごはん」がある)。さらに調べると、どうもこの江ノ島店、括りとしては「緑モス」なのですネ。

 9月に入っても134号はまだまだ賑やか。ごくありきたりなファミレスにも、入り口に列ができていた。湘南の夏はまだまだ終わりそうにない……ということにしておこうか。その辺の往生際の悪さが、夏好きのカワイイところである。


# 006 モスバーガー

― shop data ―
所在地:神奈川県藤沢市鵠沼海岸1-6-18
小田急江ノ島線 片瀬江ノ島駅歩12分 地図
TEL:0466-33-8533
URL:http://www.mos.co.jp/
オープン:2006年7月13日
営業時間:9:00〜24:00
定休日:無休(要確認)

2007.9.17 Y.M