学生時代の通学路。毎日前を通っていた当時でさえ、スパイラルビルって何やってるビルなんだろう……と、てんで謎な建物だったんだが、時を経て、今回初めて確たる目的を持ち中に踏み入ってみても、結局なんだか判らずじまいだった……。どうもコノ手の"思わせぶりな存在"というのが昔から肌に合わぬらしい。1F突き当たり=渦の中心がステージ(スパイラルガーデン)で、その手前の壁のない空間がスパイラルカフェ――分野としては"イタリアンカフェ"と。照明を抑えた落ち着いた空間は無音。さすが場所柄クリエイターたちの打ち合わせの場という感が強く、手にペン持つテーブルが目立つ。
要はハズレだったワケである。ココから先はスパイラルだけに"巻き"で……
スパイラルバーガー\980。入口にあった「冷たい野菜のソースと一緒にどうぞ」というメニューの言葉にメチャメチャ惹かれ、これはきっと今までにないバーガーに違いない!と胸ときめかせて入る。ところが出て来たのはご覧の通りのそれはそれは小さ〜い、ミニチュアのようなバーガー3つ。後列左からレンズ豆とキャベツの入ったトマトスープ(これが一番美味)、フレンチフライ(これが一番不美味)、オニオンがピリッと効いたカクテルサラダ。バーガー"と称するモノ"は、上下は丸く切り抜いたトーストで非バンズ、パティは周囲をぐるりとハムが取り巻く。レタス一切れ、そしてコクの深いミートソースがかかる。皿手前の薄っすら緑色の液体、多分これが野菜のソースだろう。特にはっきりとした味を持つものではない。もちろんひと口でいっちゃうような下品なことなど出来ない――最低でも3口(1つ当り)。まろやかな味加減はさすがこの場にふさわしいとは思ったが、されどコレはバーガーではなくサンドと呼ぶのが適当だろう。
ちなみにYahoo!で「スパイラル」「ハンバーガー」で検索すると4,484件がヒット、そのほとんどがデフレについて触れたものだった。所謂「デフレスパイラル」ってヤツですな……。そこにさらに「マック」を加えてかけ直すと1,322件。中には「デフレの戦犯はマック」と名指しするものまであり、その社会的影響と責任の重さをあらためて思い知らされたのだった。
2004.12.5 Y.M看板の「コーヒー&ハンバーガー」という文字に目が留まり、入った。看板に「コーヒー&ハンバーガー」という文字があったから、入った。だのになかった……。にしてもこんな店でも――失礼を承知で。でもどうしてもこんな言い方になってしまう。だっていつもカーテン締まってて、やってんだかやってないんだかよく分からないので――で、こんな店でもなんとビックリ!きちんと文章書いてる人がいるのネ!大変丁寧かつ愛情を込めて紹介されているので、仔細はこちらにおまかせということで……
親子丼で有名な、かの「玉ひで」の裏にある。何ヶ月も前から何遍も前を素通り。通るたび客が少ないのと、カウンターのみという店の人との距離の近さに入るのを何度も躊躇。白いU字型のカウンター。丸イスも白。その一角に初老のご婦人と坊やが隣り合って座り、坊やはお絵描き(……が、私の来店により中断)。想像より狭苦しくない。時を経てはいるが、ちょっとしたワンポイントにそれなりなオシャレを感じる。カウンターの中の男性にハンバーガーありますか?と尋ねると、あちらになります――と壁のメニューを示される。ハンバーグチーズトースト\450……この瞬間、バンズは出て来ないと直感したのだが(イヤな直感だなぁ)、ご婦人が中に回って角食を切り始めた時点で試合終了のホイッスル……出て来たものはトーストした三角形のサンドウィッチ。厚手のチーズ。千切りキャベツにはタルタルソース――マヨネーズにみじん切りタマネギの混ざったモノをそう呼ぶなら――で、真ん中にパティが挟まる。正直薄い……だがこのサンドは間違いなくこのパティのおかげで成り立っている。おそらくトーストにハンバーグをサンドしている店というのもそんなに多くはないだろう。しかもコノ店はそれをメニューのメインに押し出している感がある。パティにはそんなに濃い味でないケチャップ。トーストは香ばしくて、とても美味しかった。どこの店の角食だろう?すぐ近くに「まつむら」という名店があるが。
鍋で温めるコーヒー\350は単体で飲むと別に……なんだけど、サンドと一緒だと突如おいしく感じられるから不思議。BGM――お昼に行ったので『笑っていいとも』、中居君が声を張り上げていた。その中居君を除けば、カーテン越しの白い光の中、ゆったりと過ごせて決して悪い空間ではない。800円の使い道としては妥当、かつ贅沢。レトロな人形町界隈、今日なおサラリーマンで賑わう古喫茶店は他にいくらもある中で、上のページの作者がコノ店を選んだ理由というのも、なるほど頷ける。
2005.3.12 Y.Mハナから異端編に加えるつもりで門を叩く確信犯(←迂闊に使うとすぐ"誤用"と横槍が入るので注意されたし。ココではソノ"間違ってる方"の意味で使ってる)。ナゼニ異端かと言えば簡単、パティを挟むモノがバンズでないから――ベーグル屋さんなのでパティをベーグルでサンドしている。他にBLTや、スモークサーモン、スパニッシュオムレツなどをベーグルで挟んだメニューがあるのだが、以下紹介するのはそのパティ版。ところがベーグル、実は積極的に好きな食べ物ではない。大好きな人が大好きであろうその理由――モチモチっとしたあの高密度な食感が私の場合かえって好みに合わないのだ。なのでこれまで滅多に食べるモンではなかったのだが、ま、ソノ、ほんの出来心で……
レンガ壁でお馴染みの店……と思ってたんだけど、調べてみるとCafe店12店、物販店も画面スクロールしないで収まる程度?どこの街でも……という域にはまだ至っていない模様。だのにお馴染みの……というイメージで思われてるってことは、ひとえにお店出す場所の選び方でしょ。
んで二子玉川店と広尾店は目下、同名異種のベーグルを扱う非常にややこしい状態にある――ひとつは二子玉・広尾両店のみ限定のグルメサンド、ヤンキーズバーガー\567。もうひとつは両店も含む主要17店でオーダーできる4月の限定ベーグルヤンキーズバーガー\546。両バーガーは値段も内容も微妙に違う……なので注文を聞くときには「どちらのバーガーですか?」と必ず確認が入る。ただサイトのどこにもコノ二子玉・広尾限定ベーグルの記載がなくて……では一体私はドコでコノ情報を仕入れたんだ?
という次第で二子玉川店にて店舗限定ヤンキーズバーガーを。注文時、"今月のベーグル"合わせ全15種類の中からベーグルの種類を選ぶ。結局メニューの写真に倣い、セサミで。甘いベーグルの下はチェダーチーズ、パティ、カレー味のカールのような味のカレーソース、トマ、レタ――レタにはドレッシング(多分)、下にマスタード、で再びベーグル。トマトの酸味はカレーソースの効きをさらに強烈に。マスタードの効きも良好!従来比1.3倍のビーフ100%パティの適度な薄さと微かな牛クササ、そしてキツ目の各種ソース攻勢――作られた味の、いかにもジャンクなバーガー。なんかベターッとしたモノ食べたいな……というとき、あなたの期待に120%応えてくれる、そんなバーガー。値段も手ごろだし。ノリで4月限定ヤンキーズバーガーも頼んでみたところ、こっちは合挽きのニオイがフンプンとする。この合挽きのニオイ、バーガー食べる上ではおそろしく邪魔な存在である。図らずも純ビーフと合挽きの違いがイヤというほどよくわかってしまった……。しかし両バーガー最大の違いは何と言っても気持ちかな?作り手の、調理している人の想いネ。二子玉限定ヤンキーズバーガーの方が作り慣れてることもあるんだろうけど、気持ちの入り方が全然違っているように思えた――「元はウチのメニューだ!」という自信と誇りかな?
んで、あとは積極的には好きでないベーグルについてネ……。このようにして間に何か挟んで食べる場合、モッチリ高密度なボディを真っ二つに切るワケだ……すると俄然食べやすくなる、私にとっては。しっかり堅実な噛み応えはヘタなモサモサバンズ食べてるよりずっと安心感と言うか、落ち着いてかぶりつけて、ウム、悪くない。BGM――米系ポップス有線なワケだが、コレが珍しく大ヒット!かかる曲が次から次から私の気分をおそろしくとらえた選曲で、ゴキゲンに時を過ごすことができた。ナニセそろそろ出ようかと腰浮かしかけたら「アローン・アゲイン」ですから……即時滞在延長決定!
※'06年9月27日、プラットモールの閉鎖に伴い二子玉川店は閉店。ヤンキーズバーガーを食べられるのは広尾と、あと何処か他にもあるのだろうか?(2006.10.21)
2005.4.17 Y.Mホンモノでないと分かっていながらそれでも食べちゃう毎度のやらせコーナー。さらに言えば今回は"誤爆"である。ヴィーナスフォートにバーガーを出す店があると聞き……と毎度のテレ東的ノリで用事ついでに寄ってみたところが、見つからない――と言うか、ヴィーナスフォートの毎度入り組んだ小路ゝゝを繰り返しゝゝ曲がるうち、どの店が目標の店だったか、そもそもの作戦行動の根本自体がよく分からなくなってしまった……。と言う経緯でアレ、ココだったかな……と当てずっぽうに入ってみたのが此処と。
3F、小路のフロア。残念ながらアベニューを見下ろす窓はない。白いタイルにこげ茶の配色はすっきり清潔感漂う懐古趣味だが、でもこんな感じのテイスト、きょうびラーメン屋でもしょっちゅうなのだから、世の流れってものは怖ろしい。今年4月にオープンしたばかり。普段ベーグルにさほど親しまぬ私の中でこのMACOU'Sは、B&Bに次ぐ知名度の高さを誇っている――のであるがしかしこのMACOU'S、このようなイートインスペースのある店舗は全国に数えるほどしかないという意外な事実――高松に1店、大阪に2店、軽井沢に1店、静岡に1店、高知に1店、御殿場に1店、そして此処ヴィーナスフォートと。更に言えばホームページもこれだけの情報を引っ張り出すのがようやっとなくらいの、随分な寂しさであった。――なんだか"寂寥"としていた。自己紹介すらない。どんな会社で何処に本社を置いているのかすらも分からない。あと分かったことと言えば、百貨店での特別販売は西が多いということくらいか。なんだか物足らない……
ジューシーハンバーガー\483。なんと直感的なネーミングだろう!「もっちりベーグルにジューシービーフ。大満足のボリューム!」上下を挟むベーグルにはスーパーオニオンベーグルを起用。中身は粒マス、ケチャ、真紅のトマ、白いチーは多分プロセス、パティ、どっさりレタス。ベーグルは"スーパー"いうほど"オニオン"でもなく(もう少しスナックな味を想像していたので)、甘味が強い。この甘味と、同じく甘い酸味を持つケチャップの味で全体比の70%くらい。パティは薄っぺらく、申し訳程度。ゆる〜い甘味がするが「居たの?」というくらいの希薄さ。ベーグルの良いところは後味がさっぱりしているところか。下手なバンズ食べて喉詰まらせるより、ずっとスッキリしていて安心できる――アッ!上でも同じこと書いてる……つまりはそういうことなのである。いまいちバーガー食べた気分になれないのが残念だが、でもトマトとレタスの鮮度で何となく許せてしまう"非"バーガー。BGMは無難にJAZZ。
2005.8.13 Y.M何でも集グループというのがあって、都内要所に現在15店ほど店を出している。確か銀座で見かけたかな?「炭火BAR 集」「炭火Restaurant&Bar 集」「Dining Cafe SHU」「Grill Wine 集」あとピッツェリアがあるのだが、このラインナップに今夏新たに加わったのが「バール集」。「南欧バ−ルさながらのカジュアル空間で楽しむ絶品の釜焼きピッツァと小皿料理タパスをワインと共に」てぇことで、店のテーマは「南欧」←しかし感慨深いものがあるネ!ついに南欧料理の店でもバーガー置くようになったかと!
「南欧」と言いつつ、ほの暗い黄色い照明の店内は国籍不詳のインテリア。臙脂のビニール皮の椅子に合板・金属フレームの机の組み合わせは町の食堂風。ホールの周りにはぐるりガラス戸を廻らし、動線および厨房との隔てとなっているのだが、その木製の戸には波状の模様の入った型板ガラスがはまっていて、昭和40年代的レトロを感じさせる――昔はこういうガラスがよくあった(今は生産中止が殆どとか)。このガラス戸と格子が"日本風"。店奥の梁が椅子と同じ臙脂色、その奥の壁は薄緑に塗られ、化粧室への細い通路にはなぜか赤いランプが2つ――コノ辺りが何だか香港のようでもあり台湾のようでもあり、しかし流れるBGMは「南欧」「釜焼きピッツァ」に合わせ、ジプシーキング"風"(←あんま聴いたことなくて)であったり、フラメンコであったり、その辺りでよく解からなくなってくるのだが、この店の空間設計、個人的にはワクワクするものがある。季節柄、オモテ全開。
さすが渋谷、ちょっと放っとくと途端に周囲を諸国語が飛び交う。着席するとまずグリッシーニが(お通しか)。周囲のテーブルからニンニクの匂い、チーズの匂いがプンプンと美味しそー!な中、グリルハンバーガー\980。付け合せはキャベツの酢漬けにポテチ。お供は「ここでしか飲めない気楽なJugスタイル!」ということで本当に初めて口にするレッドワインジャグ\530なるを。バンズはカイザーロール"風"……だとドイツか。とにかくコレ、バンズじゃないなぁー。口にすると、なるほどイタリアのパンらしい、モチッとした高密度食感。下にゆで卵(半分)、ケチャ、"紛れもないハンバーグ"、サラミ?、緑濃いレタス(ルッコラ?)、下バンズ。パティは"紛れもないハンバーグ"。しかもしっかり硬めの焼き加減。バーガー口にした最初の味覚がナツメグだった。ナツメグと塩のキツイ味にケチャップ、これが全体の味の構成。サラミ?は特に印象ナシ。串を軸線に構成されるヒョロ高いバーガーの容姿に、ふとココを思い出した。郷に入らばで、美味しそうな小皿料理やマルゲリータを頼んでおくのがやはり賢明かつ人情だろう。
悩んだ挙句、"非バーガー"とした。1.上下がバンズであるか、2.肉がハンバーグでなくパティであれば――と思うのだが、片方違うだけでも合格ラインから遠ざかるのに、両方違うものの代用だったので、違うと。しかしガストの回でも触れたように、どこの店もバンズさえ何とかすれば、厨房にある食材を集めてどうにかバーガーのカッコを作ることが出来るのである。実は。たとえそれが本格的でなくても。さあそこで――本格的なモノは出せないにせよ、それでも「メニューにバーガーを載せたい」と世の店の多くが考えるようになったってコトはつまり、それはやはりバーガーブームは来ているということの何よりの証であると、私はそう思うのである――来テマス!来テマス!
しかし何だネ、ブームの伝播に連れ、コノ「番外 異端編」の厄介になるバーガーも増えようってモンだ。イナセだねぇ……(って意味違う)
寒い。記録的に寒い。外を歩くのが億劫(おっくう)なこと、記憶に無いほどの寒さである。なので駅から離れた場所にはどうしても足が向かない。出来ることなら駅から一歩も出ずに用事が済めば……と思う。ところがどうしたことか!気が付けば寄りによって新宿副都心、高層ビル群の間を歩いている……とてつもなく寒かった〜!ときに呼吸も出来ないくらい顔面に圧をかける強烈なビル風が、背中を後押しする寒さに対抗して(しなくていいのに)行く手を阻んだ。都庁舎の真横辺りに細く月が浮かんでいたが、しかし地上の冷え具合に比して思いのほか冴え冴えとした色でない。フン、地球の寒さに同情すらくれないのか……心底冷たい月だ。何処でもいい、とにかく何処かに転がり込まねば凍死する……そして行き着いたのがヒルトンだった。
帰りにまざまざと思い知らされたんだけど、この副都心一帯のビルというビルは最早ことごとく地下通路で繋がってるのネ。まさかヒルトンまで地下から行けるとは……って地下道出来てから結構になるの?それにしても壮大な地下網である(無駄――とも言う)。それこそ中央公園の脇辺りから潜って新宿三丁目まで、寒風に凍えることも冷雨に濡れることもなく楽々と歩けてしまうのだから。「実は地下で繋がっている」とか「濡れずに行ける」とか、そーゆーの昔から好きなんだよネ〜。今回の反省を踏まえて次回は「外に出ずに行ける店」でも探して取り上げますかな?
本題――ヒルトン東京。建物の構造上、ロビーはドドーンとした空間を確保出来てはいないが、もちろん端々に豪華ではある。ロビー階にラウンジがあるが、食事がしたいと言ったら2Fを案内された。ブラセリーとある(フランスで、カフェとレストランを合わせたような大型の店 [大辞林])。店名のとおり、カラメル色と淡いベージュのチェックが壁にも床にも。旅行客多数。大半が頼んでいる魅惑のディナーブッフェは\4,410。そもそもブッフェがデフォルトの模様。
チェッカーズバーガー\2,600。「チーズ又は、フライドエッグ」という二択だった。お約束でチーズ。見ての通り、かつて無いくらい立体的なプレート。ははぁ……今見返すに何かこの新宿の高層ビル群でもイメージしてのアレンジなのかな?そんな気もしてきた。上バン(crown)の中心にパイ生地をクルクルと細長くまるめたスティック状のパンが刺さり(グリッシーニではない)、付け合せのポテトはフレンチフライでなく、網目模様のいーっぱい入った(きっと自家製)ポテトチップス(多分コレ)。それが白い紙にくるまってグラスに刺してある。あとBBQソースが。
まずパイを取り除けてバーガーを手にすると……上下を挟むものはバンズではなかった。ピッチリ張ったツヤツヤの表面――ベーグルである。よってコレはハンバーガーではない。ベーグルサンドである。しかし甘めのベーグルにはどこからカブり付いても、常にベーグルの方から攻め込んで来るような迫力と弾力とがある。コレはバンズにはない。表面白黒ゴマのまだら、裏には軽快なハンバーグソース。その下にミニトマトの赤と、黄色い彩りは――パプリカだった。これが甘い。あと白い生オニ(火が通ってたかな?)。チェダーチー、その下にミディアムレアで頼んだらミディアムな焼き方だったパティ。下にシュレレタ、下バンにもソースがかかる。味の中心はとにかくトマトとパプリカ。パプリカの甘味とトマトのライトな酸味が特徴的かつあまりに印象的過ぎて、正直パティを喰ってしまっている。上バンに乗っていた香草はイタリアンパセリだったと思うので、多分この(非)バーガーはイタリアンな、しかもサンド的なテイストを意識しているモノなのかも知れない。しかしその味に対してベーグルバンズの硬い食感は、必ずしも巧く機能しているようには思えなかった。全般にルックス重視、何か普通と違うモノを目指そうという試みに満ちているとは思うが、やはり王道は偉大、多少奇をてらったぐらいでなかなか超えられるものではない。決して美味しくないわけではなかったのだけれど(←二重否定)、お金の使い道としてコレに\2,600投じるのなら、あと1,800円出してブッフェ食べた方が賢明であり、確実であり、そして何十倍とお得かつ楽しめるだろう。なので食べてもいないのにブッフェをオススメする。BGMは小さく洋楽有線が。私の聴き違えでなければマドンナの「リヴ・トゥ・テル」が流れていたような。
そんな次第で「ホテル編」には括れなかったヒルトン東京なのであるが、それでも例の説明を。
前回のスターウッドにも匹敵する世界的ホテルチェーンらしいのだが、ところが調べてみると意外なくらい(日本語の)情報が少ない。サイトURLからして「hiltonjapan.ehotel-reserve.com」であって、よく言えば予約を主目的とする簡便な、悪く言えば高級ホテルらしさに欠ける軽いつくりになっていて、ま、余計なフラッシュなんか無くてイイっちゃイイんだが、しかしゴージャスな気分には今ひとつ浸れない。本社は米国LA。「ウィキペディア」によると「東京ヒルトンホテル(現:キャピトル東急)……(中略)……は東京初の外資系大規模シティホテルとして知られている」とのこと。また汐留に'05年7月、ヒルトングループの最高級ホテルコンラッド東京が開業している。ヒルトンの初夢はこちらに持ち越しカナ……
2006.1.8 Y.M雄大な富士山をバックに走り回る豚たち・・・なんと珍妙なキャッチ!
富士山の西麓に広がる朝霧高原は、本州最大の牧草地を有する国内でも有数の酪農地帯であり、また本来ヤセた火山灰地だったものが永年酪農を続けたことにより肥沃な土壌へと変化して、今では家庭菜園でも良質な野菜が穫れるまでになったという。そんな恵まれた自然の中、富士ミルクランドでは乳搾りやバター作りなど、酪農体験を楽しむことができる――と言ってる私は別にミルクランドに行ったワケではありません。
写真を見たとき「こんな素晴らしいまきばの風景の中で、しかも富士山を目の前にしてハンバーガーを頬張れるんだぁ……」と思い過しをしたものだが、そうじゃあない。まぁ牧場ですから、さすがにクルマでないと行けないようなトコに在るわけで。それがJR身延線富士宮駅の駅前に、オリジナルの乳製品やパンを販売するサテライトショップがオープンした――その名も富士ミルクランド「駅前店」。駅歩5分、これで歩いてミルクランドに行けるようになったというワケ。でさらに昨年12月、駅前店「ミルクショップ」の隣にハンバーガーショップが出来た。しかもココのバーガーは牧場では食べられない(ハンバーグとウィンナーは駅前店オリジナル商品)。
ミルクショップ内外にベンチはいくつか在るけれど、基本はテイクアウトの小さなバーガーショップ。ハンバーガー\420はなんと放牧豚のハンバーガー。「富士山の天然水と朝霧高原の恵まれた自然環境の中で、ストレスがなく、丹念に飼養された生産者限定の豚肉です」ストレスがない……イイことですっ!私だってあやかりたい。他に焼肉バーガー\400、豚しゃぶバーガー\400。あとはサンドにドック。して、出て来たのは横長な包み――そう、サブマリン型のサンドウィッチなのである。ハースブレッドのような締まりのある、やや重めの口当たりのパンに豚肉が一枚バーンと挟んである。材料の良さが直球で伝わる、迫力ある見た目。一見ポークソテーなのだが、よく見れば確かにハンバーグ。挽肉にしてどう味が変わるのか……というところだが、基本的にはソテーの味から大きく外れるものではない。されど練れば練るほど美味しい放牧豚の肉は脂身の甘さがホワホワと気持ち良く、されどクドからず、そして何より牛のようなクセやクサミが無いので、実に素直で食べやすい。ヘタな牛よりはるかに美味しい豚肉の本領発揮。あとその下にチコッと添わる生オニとピーマンがピリッとビターな薬味として実に実にナイスなアクセント。挟む量も適当――シコタマ挟めばイイってもんじゃないですから、こういうものぁ。そして見るからに新鮮なトマトにレタス。豚の形の容器に入ったソースは、かけるとまるでソース味になってしまうので、かけずに素の味で楽しみたい。難点は、豚はよく火を通す――というのがやはり基本だからだろうか、パティが薄身なので、焼きたてアツアツがすぐに冷めてしまうこと。ハンバーガーのように上下をバンズがしっかり覆っていれば保温の役割を果たして、もう少し熱が持続するかも知れないが。とは言え冷めても美味しい肉ではありました。放牧豚のパティが主役の座を堂々と占め、エコファーマーの生産する新鮮野菜が脇をがっちり固める。ボリュームたっぷり!お腹いっぱい!お供には、ココでコレを飲まずして何を飲む!とばかりにホットの放牧牛乳\180。放牧豚同様にクサミのないサラリとした飲み口。
さてこのバーガーをどう分類するか……
羊頭を懸けて狗肉を売る――という諺が浮かんだ。イヤ、別に悪く言っているのではない。スローフードなハンバーガー屋さんという店の名でありながら、ハンバーガーが食べたくて店に入ったお客さんは、牛肉でなく豚肉のハンバーガーを渡される。しかも、まずビーフのバーガーが基本としてあって、それとは別にポークがあるのではなくて、はじめからポークのバーガーに「ハンバーガー」という看板を背負わせているのだから、極めて大胆かつ思い切ったメニューであると言えるだろう。バンズはドック&サンドと共通――なのでサブサンドと呼ぶ方が適当だろうか。
しかし……BSE問題も先行きが見えず、解決への道のりも未だ"牛の歩み"な今日、安心・安全な豚肉に注目して放牧豚バーガーを大胆にも店の看板に据えた辺り、実に実に先進的であると思うのである。時代をとらえたバーガーということで高く評価すべき……だとエラソーなので、ひと言――お見事で御座いますっ!ハンバーガーというキーワードから離れて純粋に美味しいバーガーでした。
「ラーメン店「尾道らーめん柿岡や」など飲食店を展開する太魯閣(品川区)は9月22日、六本木交差点の三菱東京UFJ銀行六本木支店隣に、ハンバーガーショップ「R-Burger(アールバーガー)」(港区六本木4、TEL 03-6805-3119)をオープンした」「今後5年間で100店舗まで拡大を目指す」――というニュースを見ておーっ!!と思った。'92年のフレッシュネスバーガー以来実に14年ぶりに「バーガー」と名の付くチェーン店が登場したのである。
こういうときニュース記事というのは実に優秀である。知りたい情報を過不足無く、簡潔に伝えてくれる――私には到底無理!上に引用した記事も、実際に店を訪ねて思った「コノ部分一体どうなってんだろ?」といった疑問に100%応えるパーフェクトな内容で、正直、ココに新たに長文をしたためる気など微塵も起こさせないほどの無欠さ(ま、あんちょこみたいなモンです)……と持ち上げるのはこの辺にしておこうか。最初に言っときます――この食べ物をハンバーガーと呼べる人はまず居ないと断言します(注意:別にお店に文句付けてるわけでも、恨みがあるわけでもありません)。
コレは誰がどう頑張って食べても「肉まん」という食べ物に対する既成概念の域から抜け出せるものではない。「肉まんの白い皮を上下に2つに切り、間に豚肉を挟んだもの」――と表現するのが適確だろう。それを、である……「これまでのハンバーガーとの違いは「手作り」「食材」「食感」へのこだわり」「長年かけて完成させてきたオリジナルバンズはかつてない食感を実現……」って……。ゴメン、聞くまでもないことかも知れないけど、ソレ本気で書いた?いや、今言ってるのはお店がどうの……いう話ではないんですよ。言いたいのは、記事として最も伝えるべき重要な部分がすっかり抜け落ちているがために「コレ、絶対バーガーテング張りのジョークに決まってるヨ!」という解釈よりほかに受けとめようが無いという、この本気ともジョークともつかぬ記事に対するクレーム……いや、文句通り越して、もう殆ど嘆息ですな。実物を見た上でなら「肉まんの生地をバンズに見立て……」とか「流行りのバーガー風に肉まんをアレンジ……」とか書くでしょ、ゼッタイ。そうじゃないってこたぁ、つまりプレスリリースをそのまま載せてるワケですネ?伝え手としての意思とか主張といったものはこの際どーでもよいのですネ?……何だか「報道の在り方を問う」なんて方向に向かいそうだが、まぁいいや。この辺にしとかないと「オトナの事情の解らぬ世間知らず」と思われそうだから。とにかく――もしこれが広告ならば店の用意した資料そのままでも構わないけど、一応「新聞」とか「ニュース」とか銘打ってる以上ねぇ……。じゃあニュースと広告の違いは何なのよ……と問いたくもなりますて。
六本木交差点に立てばすぐ分かる、白と赤の店。入ると正面にレジ、奥にキッチン。入り口脇にカウンター席4つ。階段を上って2階は31席。全席禁煙。椅子もテーブルも白。トレーは赤。床は木。BGMはとらえどころなくフツウに洋楽ch。バーガー類5種、ドッグ1種。大葉や甘酢漬け大根を添えたRバーガー\480、竹炭粉入りの黒バンズに酢豚風の具材をあわせた黒酢バーガー\530、マグロのパテに醤油風味のあんとわさびマヨネーズで味付けしたまぐろわさびマヨネーズバーガー\650、チキン梅バーガー\620、アップル・バーベキューバーガー\600など。Rバーガーはポテトorライスペーパーで巻いたスティックサラダ+ドリンクのセットで\780だったかな?単品にアイスウーロン茶\320を合わせると\800。
不必要なまでに立派なパックの中にちんまりと座すRバーガー。中華まん風、真っ白なオリジナルバンズはてっぺん絞りなしの丸型に"R"の文字。裏味噌、ポークパティ、薄切りの甘酢漬け大根、大葉、また味噌、下バン。ずい分小ぶり。八丁味噌をベースに甘めに仕立てた味噌ソースはくどからず、良い塩梅に効いており、何より大葉とよく合う。岩手産SPF(無菌)健康豚「岩中ポーク」を使ったパティは、脂分を豊富に含んで口どけが大変よろしく、ほわ〜んと美味。タマネギと竹の子が中に入り、時折コリッとした食感にヒットする。千枚漬のような形状の大根は食感にアクセントをもたらしてレタスの役割に近く、大葉の大葉以外何物でもない香りが全具材をまとめ上げて、最終的にはきっちりと収まりが着いている。トータルのバランスがよく計算されており、その点流石。黒酢バーガーは黒酢の甘酢あんを使っているが、しかし味噌も黒酢もキャラとしてはほぼ一緒で、さほど劇的な変化はない。ただどちらも使い方に節度があって、所謂ソース一発でゴリ押す力技でない点、なかなか。これから寒い季節に向け、あるいは重宝される……かどうか。そうね……こんな手の込んだ肉まんが高速のサービスエリア辺りでほっこり出て来ると、ちょっと嬉しいかな?ただ、大阪551蓬莱の豚まんが\140、神楽坂五十番の肉まん\315でしょ?で、この\480は……。そんなワケで取材は思わぬ方向に向かい、今は神楽坂五十番の2Fで記事を打っている。ついでながら五十番の肉まん――本気で美味しいワ!
拡大解釈というものは、そのものの呼び方が変わる"手前で"止めておくべきであろう。これを「バーガーのアレンジ」と理解することは、ヒジョーに難しい。そう考えると、LOCO-BURGERなどはバーガーの約束事の中で実にユニークな創意工夫を凝らしていて、あらためてそのセンスの良さを知らされる思い……ってヨソの記事の中で褒めるってのもナンですが。とにかくまぁコレはコレ、バーガーはバーガーって感じの住み分けで良いのではないでしょうか。展開する株式会社太魯閣(タロコ)はかっこして(品川区)と書いてあるけど、所在地「西中延」と聞いて、妙に親しみが湧いてきた。経営者は台湾人――まるでラッピのようだが、しかしハンバーガーへのアプローチがこうも違おうとは。
2006.10.20 Y.M