目次

2006年
【音楽】 5月・6月に買ったCD 2006.7.16 NEW!
【雑感】 アメシブ 2006.7.9
【写真】 祝!初“写タヌ”!! 2006.6.3
【音楽】 GARY BURTON QUARTET REVISITED 2006.5.29
【バーガー】 改名 2006.5.11
【音楽】 3月・4月に買ったCD 2006.5.5
【読書】 ココ最近読んだ本'06春 2006.4.15
【食べ物】 仇のラーメン 2006.3.21
【音楽】 1月・2月に買ったCD 2006.3.5
【読書】 読んだ本 2005 2006.2.4
【音楽】 BLUESETTE 2006.1.27
【音楽】 『ジョージ・マイケル 〜素顔の告白〜』 2006.1.26
【食べ物】 日清シスコ クリスプチョコバー 2006.1.22
【音楽】 CHEZ TOOTS 2006.1.10

2005年
【写真】 2005年最後の一枚 2005.12.31
【バーガー】 100店の影に… 2005.11.29
【写真】 今朝の空 2005.11.17
【バーガー】 足踏み 2005.11.13
【紀行】 予告 2005.11.5
【雑感】 ホームページを公開するということ 2005.10.20
【音楽】 久々 2005.9.22
【紀行】 誤写 2005.9.19
【雑感】 怪しい光 2005.9.17
【紀行】 雑司ヶ谷へ 2005.8.21
【雑感】 無事直る 2005.8.14
【雑感】 途中経過 2005.8.11
【バーガー】 閉店 2005.8.3
【雑感】 今度はPC 2005.7.26
【雑感】 一日にして直る 2005.7.8
【雑感】 ついにデジカメが…!! 2005.7.5
【バーガー】 久々に… 2005.7.2
【雑感】 信用できない4月 2005.4.19
【バーガー】 あれから1年 2005.4.4
【雑感】 千目前!! 2005.3.23
【バーガー】 カレーソースを絡めたバーガー 2005.3.11
【雑感】 とうとう日本撤退 2005.3.10
【食べ物】 丼モノ 2005.2.18
【雑感】 今度こそ、安らぎの世界へ?? 2005.2.16
【雑感】 安らぎの世界へ 2005.2.6
【雑感】 今月の締め 2005.1.30
【バーガー】 どっち?! 2005.1.23
【バーガー】 折り返し 2005.1.16
【雑感】 買い初め 2005.1.2

2004年
【雑感】 まだまだこのままでは終われぬ 2004 2004.12.31
【雑感】 2004年を結ぶ 2004.12.31
【雑感】 宇宙船が埋まる河原へ−予告編− 2004.11.27
【食べ物】 久々の… 2004.11.23
【雑感】 今日も渋谷 2004.10.11
【雑感】 所謂「東京・渋谷駅の様子です」 2004.10.9
【雑感】 アクアリウム 2004.9.22
【紀行】 prelude to...佐世保 2004.8.17
【雑感】 世の中、Uターンラッシュ 2004.8.15
【雑感】 路上 2004.8.5
【雑感】 東京湾 2days 2004.7.31
【雑感】 土用 2004.7.20
【バーガー】 25分 2004.6.19
【雑感】 昨日の銀座 2004.6.5
【雑感】 リプトン ch'a は何処へ? 2004.6.1
【雑感】 掲示板で話題のマークスプリングス 2004.5.6
【雑感】 スゴイよ vodafone 2004.4.20
【写真】 花の写真を無理矢理上げてみる 2004.4.18
【雑感】 相変わらずADSL工事待ち… 2004.4.7
【雑感】 初代デジカメ引退 2004.3.31
【写真】 フォトエキスポ2004に行って来た 2004.3.27
【バーガー】 昨夜、また渋谷。 2004.3.25
【音楽】 ブルーノートでボブ・ジェームスを観た 2004.3.18
【雑感】 ちょっと待っといて 2004.3.15


5月・6月に買ったCD

わかる範囲で邦題表記にした。

テンダー・フィーリンズ/デューク・ピアソン('57)
…シリーズ「グリーン・ドルフィン・ストリート」その1。アルバムタイトルどおりの淡くやさしいタッチのゴキゲンなピアノを、どちらか言うとタッカタッカいう感じのスウィング感で弾く人。聴くにつれウキウキしてくる。

オーバーシーズ/トミー・フラナガン('57)
…『ジャイアント・ステップス』のソロを聴いて以来、大したことないピアニスト…と括っていたのだけれど、もちろん大したことナイことなどナイ。知性薫る、胸の空くような快演。

1958 マイルス/マイルス・デイビス('58)
…シリーズ「グリーン・ドルフィン・ストリート」その2。この録音でグリーン・ドルフィンはスタンダードの仲間入りを果たしたという歴史的的セッションだが、未発表テイク集というのがこのアルバムの実際のところらしい。キャノンボールの『サムシン・エルス』と2週間違いくらいの録音。なのでアレンジほぼ一緒。

ケリー・ブルー/ウィントン・ケリー('59)
…シリーズ「グリーン・ドルフィン・ストリート」その3。これまたなかなか素敵なスウィングなのだけど、キメの音でミスタッチするなど、その辺が超一流と一流の差なのかなと思ったり…。でも素敵。

BRIGHT AND BREEZY/RED GARLAND TRIO('61)
…シリーズ「グリーン・ドルフィン・ストリート」その4。こちらは真の超一流ピアニスト。少しコーラスのかかったトーンで、ソツのない締まった演奏を聴かせる…巧い!

ライズ・アゲイン/ジェームズ・ギャング('70)
…ジョー・ウォルシュ、ドミニク・トロイアーノ、後にはトミー・ボーリンまで在籍していた伝説的ハードロック・バンド…?いや、それは無いな。ウォルシュの乾いた歌声とギターは既に健在、プログレッシブなこともやっているが英国ほどおどろおどろしくはない。リマスタリングされた良質な音質も手伝って、とても1970年のサウンドには聴こえない。'70年代の意外なほどの底深さを思い知らされる。

MOTROSE/MONTROSE('73)
…こちらの方がアメリカン・ハードロックの草分けと位置付けられるに相応しいだろう。やたら表面ギラギラ・ジャリジャリしていて中身は薄い―という典型的な、かつ伝説的なハードロック・バンド。この作品も時代を思えば信じられないような出来だと思う。リーダーであるロニー・モントローズのギターは抜群。しかし今となってはヴォーカルのサミー・ヘイガーの方が著名である。

RING/GARY BURTON('74)
…バートン=スワロー=メセニーの組み合わせによる。前回の
"Passengers"よりも前の作。わりと解りやすい"Passengers"に比べてエラク前衛的な内容。この両作品の間の変化を「進化」と見るべきかどうか…

流れるままに/デイヴ・メイソン('77)
…イギリスの人。トラフィックのオリジナル・メンバー。タイトルどおりのフローティングな作品なのだけど、生まれがイギリスであるというのと、ヴォーカルが案外太いのとで西海岸的な軽いサウンドとうまくマッチしていないように思われる。

秘なる海/ジャン=リュック・ポンティ('77)
…初めて聴くアラン・ホールズワース。激し過ぎるくらいのジャズロックで、マハビシュヌ・オーケストラ辺りのグヂャグヂャを見事に引き摺っている。ホールズワースのギターは地味にうねっている感じで、それより驚いたのは後にジャーニーに加わるスティーブ・スミスのドラムだなぁ

GAZEUSE!/GONG('78)
…初めて聴くアラン・ホールズワース第2弾。フランスのロックグループとの前情報だったが、中身はジャズロック…いや、ヴィブラフォンが入っていることもあり、ゲイリー・バートンもに通じるコンテンポラリージャズにも聴こえてしまう…が、ニューエイジと括れなくもない。ウンと頭を使ってエラク気取った作風とでも言っておこうか。深夜のFMでかかりそうな雰囲気。

THE BEST IS YET TO COME/GROVER WASHINGTON JR.('82)
…レンタルでコピーして以来10数年、ずっと探し求めていた1枚をやっと入手!ヒット作『ワインライト』の次作に当るか。しかしそのような二番煎じ感を欠片も感じさせない素晴らしいコンテポラリー作品に仕上がっている。パティ・ラヴェルの熱唱にグローバーのオブリが絡むタイトル曲や、ボビー・マクファーリンが歌う4曲目など、昼下がりに聴くとたまらなく気持良い名曲揃い。

NIGHT-GLO/CARLA BLEY('85)
…むかし志賀ちゃんという先輩がいて、彼が愛聴していたのを聴かせてもらって以来、これまたエライ時を経て入手した。おー素晴らしい!なんとメロウで都会的でオトナな音だろう。これもまた深夜のFMでそっと流れていそうなサウンド。癒されます。

LOVESEXY/プリンス('88)
…ジャケセンス最悪…かと思ったが案外そうでもない。いただけないのは「このCDは9曲入りですが、アーティストの意図により再生の際、表示が1トラックとなります」という、全く以って迷惑なアーティストの意図とやら。

NAJEE PLAYS SONGS FROM THE KEY OF LIFE/NAJEE('95)
…スティーヴィー・ワンダーの不朽の名作をまるごと1枚インストカヴァーという大企画モノ。プロデューサーがジョージ・デュークであろうとも、NAJEEのプレイは全く面白くない。

LIKE MINDS/GARY BURTON('98)
…これもバートン=メセニー予習シリーズ。チック・コリアも加わってイヤーみんな巧いワ!当然のことながら…

NEVER NEVER LAND/JANE MONHEIT('00)
…コレは掲示板にたま〜に書き込んでくれるともかず氏のご推薦。最近のジャズヴォーカルの中ではイチ押しとのことだったのだが、まさにその通り!まず何より声がイイ!それに尽きる。歌い回しとか小細工利かすとかいう部分じゃなくて、根本的に素晴らしい声質の持ち主なので、聴いていて何より安心させられる。この抜ける声にはケニー・バロンのクリーンなピアノがぴったり!こちらはさかべ氏ご推薦のピアニスト。アレンジも秀逸。

COME AWAY WIHT ME/NORAH JONES('02)
…HMV 恒例の「2枚買えば\2,990キャンペーン」に乗せられた恰好で、あと1枚何にしよ…とコレに行き着いた。近年の人気作なので、まぁ持っていても良いかなと。このところナチュラルヴォーカルだとかそんな無農薬・無添加な扱いで、この手のあまり加工を施さない素に近いサウンドのヴォーカルものが持て囃されているが、残念ながら私の好みにあっては彼女の歌声により癒されることは無さそうだ。曲も少しポップに過ぎるようだし。

SPEAKING OF NOW/PAT METHENY GROUP('02)
…またまたバートン=メセニー予習シリーズ。過去の焼き回し的傾向が強く、楽曲やメロディの良さを求めるのは難しいか。歌モノには歌詞も加わって一見進化のようにも思えるが、実は退化じゃなかろうか。あれだけ"voice"で頑張ってきたんだから…

FROM EAST TO WEST/WOODY HERMAN('02)
…'82年と'84年に発表の"LIVE AT THE CONCORD JAZZ FESTIVAL""WORLD CLASS"両アルバムの2in1CD。ジャケも悪くない。コンテンポラリー・ビッグバンドとして軽過ぎず、重過ぎない、なかなか良い路線で楽しませる。「アメリカ」を感じさせる名曲"NORTH BEACH BREAKDOWN"収録

SONGS FROM THE STREET('03)
…『セサミストリート』放送35周年を記念した3枚組BOXセット。番組にゲスト出演したアーティストによる演奏など貴重な音源盛り沢山。とは言え目玉はやはり、何を置いてもオープニングタイトルより他ないでしょう!ブルースギターの粋なオブリ、そして笑いながら歌う子供たち―50年かけても日本人には絶対辿り着けないセンス。いーんです!日本には歌舞伎がある!文楽がある!

(2006.7.16)


アメシブ

雨の渋谷…でアメシブ
これほどキライなものはない
歩道びちゃびちゃ、生臭ぁ〜ッ!!

…でもやっぱ、アメシブっしょ!

(2006.7.9)


祝!初“写タヌ”!!

 ウチの近くにはタヌキが住んでいます。タヌキと言うと、私の中では完全にむかしばなし上の生き物として括られていて(大袈裟に言えば「空想上の動物」ぐらいに言っても可)、ゆえに初めてソレらしき生き物の逃げる姿を見たときも、「まさか"アノ"タヌキが現実に…」と興奮しまくったものでした。イヌでもニャンコでもない、所謂空想上のタヌキと"推測される"生物が、すぐ近くに生息している…しかしそこは根っからの野生動物。用心深く、臆病なうえ夜行性であるため、私も十数年現住所に住んで、その間4、5回しか目撃したことはありませんでした。次回遭遇したときには絶対「写タヌ」を撮ってやろう。そして今週ついに…!!

 タヌキは足はさほど速くありません。逃げるのはヘタです。しかもこの夜遭遇したコイツは、逃げる方向からして下手で、ウチの前の公園に入って、身動きがとれなくなってしまいました。そこでようやく押さえた一枚が↑。手前は公園の入り口、中央に橙色に光るふたつの""がタヌキです。赤外線カメラとか、望遠バリバリの一眼レフなら知らず、使い倒した現在の愛機ではこれが限界。あぁ〜、もっと良いのが欲しい〜!でも、これでも一応記念すべき「写タヌ」第1号です。ストロボ浴びて光る目が、絵に描かれたソレとそっくりで、後で写真見てびっくりしました。

 シャッター切りつつ、一歩一歩追い詰めていったつもりだったのですが、気が付けば闇の中に溶けていなくなっていました。いつの間にか、"ドロン"と。

(2006.6.3)


GARY BURTON QUARTET
REVISITED

 日本で最初、いや、ブルーノートのホームページには世界に先駆け日本をツアーと書いてあるので、世界で最初に大物過ぎる4人のステージを観たことになる。あのパット・メセニーがブルーノートですよ!アチラでは知らず、日本国内でメセニーがクラブ級のハコに出演するというのはまず滅多に無いコトである('03年12月にブルーノートの出演歴はあるが)。ゲイリー・バートン(vib)が盟友スティーブ・スワロー(b)を誘い、パット・メセニー(gt)がPMGのアントニオ・サンチェス(ds)を引き入れてのビッグ4(そんな感じでしょうか)。しかも公演初日のファーストという先物買い的な選択は私自身過去に例がなく、そんな意味合いからも、半ば以上をイベント的な興奮に突き動かされながら、ほぼ半日がかりでお待ちかねのステージにありついた。

 まずは毎度のことながら、これだけクセの強い、聴けば誰と判る音を発する4人が、CDで聴くのと全く同じ音色を目の前で発している時点で、素直に驚かされる。名人中の名人の演奏はいつ聴いても驚異的だ。1曲目は“PASSENGERS”収録の“SEA JOURNEY”。あとはスティーブ・スワローの“FALLING GRACE”、メセニー“QUESTION AND ANSWER”、カーラ・ブレイ2曲、デューク・エリントン1曲、キース・ジャレットが1曲―確かこんな感じ(アンコールの曲名は不明)。バートン自身の曲が無いのはアルバム同様。たぶんこの御方は曲の善し悪しを判断する目が恐ろしく公平なのか、あるいはよほど自身の作曲能力を買っていないのか、どちらかだろうと思われる。

 この組み合わせによる音は微妙に「濁る」というか、たとえばフォープレイは―というこの比較自体、全く適当とは思わないのだが―「隙間を作る」音楽であるのに対し、この4人のサウンドはとにかく「空いているところがあればどんどん埋めてゆく」ような作りである。手数が多いという意味ではない。断面断面の密度がおそろしく濃いのだ。両者ともに流れのある音楽をやるが、フォープレイがさら〜っと涼しく流れて徐々に加熱し、沸点に達してのち再びさら〜っとした涼風に戻る風量調節であるのに対し、この4人はおそろしくハイプレッシャーな風の流れが―つまり突風が目の前をゴォゴォいいながら吹き抜けてゆくような、そんな気圧の高い音作りをする。ピシッー!とまとまってはいるんだけど、目の前で大きな渦巻きがゆ〜っくりと回っているような、名状し難いうねりが感じられて、音楽を"聴く"と言うよりは、その渦巻きの中に頭の先からゆ〜っくりと呑み込まれてゆくような、そんな体験をした感じだ。なのでどの曲が良かった―というような個々の曲に対する感想はほとんど湧かず、60分だか70分通して、体の中を強風が突き抜けていったような感覚ばかりが、ある種心地好い脱力感となって体内に強く残った。要はひとっ風呂浴びたような、あるいはサウナに入ったような、そんな作用によって余分な力が体から抜け落ちたような感覚で、これはカタルシスと言ってもよいだろう―まぁそんな感じ。

 個々の曲に対しての感想は…とは言いながら1曲挙げるならオープニングを飾った“SEA JOURNEY”。チック・コリアの曲だが“PASSENGERS”で本人抜きで演っているほか、自身のソロ作と、あとスタンリー・クラーク名義(ほとんどRTFだが)でやっている様だが、現在どちらも入手困難。8拍だけメジャーに転じるユニークな曲で、メジャーで始まって後半マイナーに変わる「セニョール・マウス」の逆パターンと言ってよい。本来左手のバッキングだっただろうパターンをベースとヴァイブのユニゾンで濃ゆ〜くなぞってゆくのだが、スワローはAメロの間中このパターンを延々弾きっ放しだ。

 そして何より鍵盤打楽器の魅力…出す音がこれほど分かり易く体の動きとして表れる楽器も他にない。ギターにはポジションがあり、管楽器にはキーがあるけれど、素人がパッと見てソレと直感できる点でヴィブラフォンは「いま振り下ろしたマレットでこの音が出たんだな」という具合に、プレイヤーの動きと出音との因果関係が極めて明瞭なので、つまるところ視覚的に非常に見栄えのする楽器と言える。ましてゲイリー・バートンは体格も非常に良いので、身のこなしも実にダイナミックに映る。さらに言えば長年大学教授をしていたことが関係しているのだろう、そもそもが堂々とした立ち居振る舞いで、威厳に満ち満ちている。大学教授は当然MCもうまい。メセニーの、スワローの、サンチェスの、普段CDで聴き慣れたアノ音・アノ手癖が、目の前数メートルでそっくりそのまま再現された驚異については言うに及ばず(よって言及しない)、とにかく心地好い脱力感!イヤ〜ホント聴き終わってしばらくは感覚だけの人間になったネ。

 知人が時を同じくして歌燕というライヴを企画したのは、単に偶然だろうか。

(2006.5.29)


改名

 ふと改名しようかと思い立った。

 今まで「ハンバーガー"隧"道」と名乗ってきた。隧道―つまりトンネルである。特に意味は無い。無いが、屈折した青春時代を送った私に相応しく、陰鬱でやや卑屈なタイトルである。『ハンバーガーヒル』という映画があるけれど、その向こうを張って「ハンバーガートンネル」だなんて逆説めいていて、ひねくれていて、何ともユニークなネーミングだ。以上は命名の由来でも何でもない。しかしせっかくの名前なので、それに引っ掛けて「ただひたすらにハンバーガーを掘り下げ続ける場」なるキャッチも考え出し、それなりの愛着を持って大事に使い続けてきた。特に不満も無い。無いが、ただ何だか最近、まるで別のイメージが突如頭の中に閃いて、しかもなかなか離れないものだから、思い切ってそっちに変えてみようかと思った次第。

 そのイメージとは“ストリート”―この言葉の持つ明るいイメージ、開けたイメージ、シンプルでポップなイメージが、いま私の頭の中を駆け巡っている。

 我が"それなりに"敬愛するドゥービー・ブラザーズの代表曲に「ドゥービー・ストリート(原題 Takin' It To The Streets)」('75)という快作があるが、“ストリート”という言葉を聞くと、コノ曲が持つ、竹を割ったような豪快で底抜けな明るさが自然と連想されて、気分もグッと上向いてくる(それにしてもコノ邦題は秀逸)。他にも『セサミストリート』―この明快で原色な感じの響きったら他にないっしょ!―さらにマーサ&ザ・ヴァンデラスの「ダンシング・イン・ザ・ストリート」('64)、プリンスの「アルファベット・ストリート」('88)―あぁ、コレもセサミ並みに明快!―ナイト・レンジャーの「センチメンタル・ストリート」('85)など、“ストリート”という言葉は押しなべて明るくポップな響きとして扱われている。

 一方で“ストリート”は、もっと切実な社会的問題を伴って語られることもある。クルセイダーズの「ストリート・ライフ」('79)を聴けば、“ストリート”とは人生そのものの縮図であることがわかる。つまり有象無象、酸いも甘いも何でも御座れ!とばかり、あらゆる雑多なものを受け容れる懐の深さを持つ、そんな場所が“ストリート”なのである。“ストリート”は人生。あるいは世間とも呼べる。「オモテへ出やがれ!」と言うときのオモテこそがまさしく“ストリート”なのである。「ドゥービー・ストリート」はまさに「オモテへ出やがれ!」を痛快に連呼する歌だ。そう…これまで2年近く、ずっとトンネルを掘り進めてきましたから、そろそろオモテに出てもよいのかな…?という思いもあって、急遽“ストリート”に変えてみようかと思ったというワケ。お堅い“隧道”が一転してオール横文字になるワケだが、コノ言葉のキラキラと明るくポップなイメージや、シャッキリと真っ直ぐなイメージ、そしてときに感じるソーシャルなニオイまで含め、改めるには持って来いなタイトルではないかなと―そこまではほぼ決定事項として考えているのである。ハイ、改名します!

 ちなみに東京メトロでは、

人形町通り= Ningyocho-dori Ave.
甘酒横丁 = Amazake-yokocho St.

という使い分けがされていた。“アベニュー”が通りで“ストリート”はこの場合横丁…“アベニュー”は常に流れていて“ストリート”は立ち止まってるようなイメージもあるかな?何かご近所付き合い的な適度な距離感の感じられる場、それが“ストリート”。

 さて、いよいよ本題―“ストリート”に改めるとして、今悩んでいるのは「ハンバーガー・ストリート」とするか「バーガー・ストリート」とするか―という部分なのである。

A: バーガー・ストリート (Burger Street)
―「ドゥービー・ストリート」に語呂が近く、リズムがある。短くて言いやすい。

B: ハンバーガー・ストリート (Hamburger Street)
―長い分少しもたり、リズムは劣る。が、“ドリカム”を“ドリームズ・カム・トゥルー”と呼ぶときのような、密かなオフィシャル感が満足を誘う。

 さぁ!常連さんも通りすがりのあなたも、皆さまご投票願います!投票は掲示板にて。さぁ、あなたはA or B、どっち?

(2006.5.11)


3月・4月に買ったCD

わかる範囲で邦題表記にした。

MAN BITES HARMONICA/TOOTS THIELMANS('57)
…ビバップというフォーマットをハーモニカでなぞっている―という感じで、実際には恐ろしく超絶なプレイを繰り出している筈なのだけれど、感動は思いのほか少ない。今日認められているトゥーツの唯一無二の才能が輝くまでには、もう少し時の流れが必要だったようだ。

ウェイ・アウト・ウエスト/ソニー・ロリンズ('57)
…やっぱりこの辺も聴いとかんとネ。コルトレーンを「トレーン節」と呼ぶのは似合わぬが、ロリンズには「ロリンズ節」という呼び方こそふさわしい。

ムーンビームス/ビル・エバンス('62)
 …何かエレガントなのが聴きたかった…のだが、ビル・エバンスの場合、エレガントと言うより少し憂鬱な響きを含んだ音になる。ジャケもしっとり。

『バーバレラ』オリジナルサウンドトラック('68)
…映画観て、アノ超絶天才的なオープニングに一発KOを喰らって即入手!バカラック風オケにトム・ジョーンズ風ヴォーカルが乗っかる名主題歌は、しかし劇中で使用されているサイズより短く、ややがっかり…。なんだよ〜!歌が入るまでのタメがたまらないのにぃ〜!

CENTRAL PARK NORTH/THAD JONES/MEL LEWIS('69)
…所謂サドメル。こんな小難しい曲、好き好んで演ってる学バンあったよねぇ…とか思いながら聴いてみると、一曲目からファンキーなカッチョいいビートが。おぉ…と思っているうち、でも結局は手の込んだアンサンブルで小難しくまとまってしまう。つまるところ上手ヘタに聴こえてしまうんだよネ。ビッグバンド的迫力には大きく欠けるかと。そう考えると私が最もアメリカンサイズを感じるビッグバンドは…ラロ・シフリン!(クインシー)

『真夜中のカーボーイ』オリジナルサウンドトラック('69)
…ジョン・バリー×トゥーツ・シールマンスの名盤をついに入手!ニルソンの「うわさの男」はサントラ・オリジナルサイズ。トゥーツのプレイも水を得た魚のようで、上述のビバップよりはるかに効果的。

クリムゾン・キングの宮殿/キング・クリムゾン('70)
…実は初めて聴くのだった。長らくもっとグジャグジャしたものを想像していたのだが、ピンクフロイドほどヒステリックでなく、ジャジーで聴きやすい。なにより美しい…こういう眉間に皺寄り系の美しさ、好きなんだよね〜

呪われた夜/イーグルス('75)
…そう言えば持っていなかったなと。それにしてもどのアルバムも異様なまでのクオリティの高さ。ソンジョそこらのバンドが何十と束になって懸かったって到底敵わないだろうってくらい、そもそもこのバンドは格が違うのである。しかしなぜメンバーが入れ替わってもコーラスの美しさは常に変わらないのだ?

FLY WITH THE WIND/McCOY TYNER('76)
…壮大なのが聴きたかった。と思ったら壮大と言うより、もぉレコード盤が割れそ…というくらいの轟音が圧縮密閉されていた。なにせ"LOVE SUPREME"のマッコイ・タイナーですから〜!ドラムはマッスル系ドラマー、ビリー・コブハム

マッド・アバウト・ザ・ボーイ/シビル・シェパード('76)
…そう、あの『
タクシードライバー』の、たぬき顔のシビル(『ブルームーン探偵社』のシビルは残念ながら未見)。スタン・ゲッツのぶっきらぼうなサポートを得て快作に仕上がっている。所謂カフェ系で引っ張りダコなそうなのだが、そう聴くと昨今のカフェブームって、ソレ自体、実は素人のヘタウマ文化なようにも思えてきたり…。

PASSENGERS/GARY BURTON('76)
…暗めな曲はあまり得意でないんだけど…と思っていたら、聴くほどにはまる!はまる!独特のふわふわとしたミディアムなスピード感。ヴァイブの包み込むような音色が心地好い。いよいよ今月末にブルーノート公演迫るバートン=メセニー=スワローの3人が会した傑作。

愛と微笑の世界/バリー・マニロウ('78)
…あの「コパカバーナ」が最新技術で今っぽい音に蘇って再登場!このリマスタリングは大正解!目茶目茶カッコイイ!見るからに血の気の多いラテンミュージシャンではなくて、大都会NYのスマートなエンターティナーにして元CMソングライターである彼がクールにこなす辺りにコノ曲の真価があると思っている。ホラ…バックのホーンセクションひとつとったって、サド=メルより鬼気迫ってるでしょ?

シーク・ヤブーティ/フランク・ザッパ&ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション('79)
…真面目にやっていれば、きっとどのジャンルにおいても一流のアーティストに成り得たであろう。しかしどれ一つとして真面目にやらなかったので彼はザッパというジャンルに自ら成ってしまったのである。異能の人。

ラスト・セイフ・プレイス/ル・ルー('82)
…やっと入手!まあ確かに80年代前半なインダストリアル系さわやかロックなのだけれど、よくまとまっているとは思う。全米トップ10ヒット「光を求めて」収録

ザ・パワー・ステーション/ザ・パワー・ステーション('85)
…ついに買ってしまった。NYパワーステーションスタジオの超ライヴな音響とゲートを駆使した攻撃的なサウンドには何年経っても衰えぬ刺激アリ。

ミズーリの空高く/チャーリー・ヘイデン&パット・メセニー('96)
…こちらもブルーノートへの予習の意味から入手。ベースとギターのデュオ。しかしニューエイジやアンビエントミュージックの類にまるで陥っていない辺り、流石。アーティストとしてそもそもの「出の違い」を感じさせる力作。しかしホントに何をやらせても巧いったら!

PASS THE PEAS:THE BEST OF THE J.B.'s/THE J.B.'s('00)
…'00年発売のベストだが、収録作品の発表時期はすべて70〜75年の間に収まる。言わずもがな、亡き友人の趣味に触れんとコレを聴きながらラーメン二郎へ向かった。曲と言うよりリズムパターンって感じかな?確かに聴くほどに嵌まり込むような麻薬的作用を持った粘着質なビート。コノねっちゃりと糸引く跳ね…う"〜ん、絶品!

MICHAEL BUBLE/MICHAEL BUBLE('03)
…デイヴィッド・フォスターのプロデュース、21世紀期待のジャズヴォーカルの新星!買った理由は我がジョージ・マイケルの「キッシング・ア・フール」のカバーを収録しているから。あらためて名曲であることは確認できたが、しかしジョージ・マイケルをカバーしようということ自体、実に無謀な行為であると言ってよい。相手が悪過ぎる。なれどビー・ジーズ「傷心の日々」ルー・ロウルズ「別れたくないのに」クイーン「地獄へ道づれ」などポップスの名曲を中心としたオイシイ選曲の連続で、聴いていて素直に楽しい。

フォー・バイ・フォー/カシオペア('82)
…先述の友人の通夜の折、十数年ぶりに再結集した懐かしき面々と、我らが世を忍ぶ仮の高校時代のことを話すうち、そう言えば高校の中庭にドラムセット2台並べて「ミッド・マンハッタン」やったよネ…とふと思い出したものだから、その数日後に早速入手。カシオペアの4人と西海岸を代表する巧者4人の競演。ツインドラムは神保が"先"、ハーヴィー・メイスンが"後"

(2006.5.5)


ココ最近読んだ本'06春

 通勤時間が長いので―最近ようやく読書の習慣が身についてきた。しかし車内の読書はなかなか集中できないと言うか、この場面は深夜の静寂の中で読みたい…などと思って、読むのを途中で止めてしまうときもあったりで、なかなか進まず―

『天と地と』海音寺潮五郎

 …軍神・上杉謙信の半生記。これほどまでに爽快な戦国物というのも今まで読んだことがなかった。おかげですっかり上杉党に。刃を受け止める側の晴信よりも、やはり振り下ろす景虎の方が数十倍カッコイイのである!武田信玄の側から語った読み物でさえ、謙信を根っからの悪として描き切ることはまず難しいだろうというくらい、景虎は根っからの正義漢であり義人であった。その辺りの無鉄砲な男ぶりを颯爽溌剌と描いている。ただ読み物としてはやや尻切れトンボ気味。先代の妾の話なんかどうでもよいので、ラストの川中島の合戦を豪傑連の活躍など交えつつ、もっと多く頁を割いて描いて欲しかった。

『沈黙』遠藤周作

 …読み始めてからしばらくは読むんじゃなかった…という思いに駆られ通しだった。目を背けたくなるような歴史の暗部を容赦なく突きつけられ、相当に堪える。信仰あるいは信念・信条、もしくは生きる上の拠り所をどこに持ち、どこに見出すか。そしてそれらをどこまで貫くか、あるいは貫くべきか―極限の状況下でこのような決断を強いられた、ひとりのポルトガル人司祭の話。パードレよォ…

『彩雲の峰』高樹のぶ子

 …古本屋で何とはなしに手を伸ばしたら、開けてびっくり!小海線を使って佐久に行こうという計画を立てたちょうど矢先だったので、予習も兼ねて読み耽る。この偶然が起きるまで、この作家の名前など一度も聞いたことがなかったし、またコノ手の恋愛物についても、今まで一度も読んだことも読んでみようと思ったこともなかったのだが。
 長年自分が思っていた、あるいはぼんやりと眺めていた物や事象をぴたり、ぴたりと、かくも巧みに言葉に言い表わしていて、なるほど小説家の腕とはこういうものかと、あらためてその職業の存在意義を認識した。こういうのこそが小説らしい小説。八ヶ岳山麓の高原の風景は、これまでニュース映像などでしか見たことがなかったのだけれど、実際に見ると小説中に描かれていたとおりに実に爽やかで清々しく、また力強く、こんなところにしばらく身を置いてみるのも悪くないかな…などとちょっと影響されてみたり。

『富豪刑事』筒井康隆

 …シリアスな作品が続いたので、ちょっと息抜き。平易な文体の中に秘められたあまりなナンセンス。しかしそんなおバカな中にも、富や欲望への葛藤や苦悩といった「在るべきもの」がきっちりと描き込まれている。正常な頭の持ち主でないとこういう小説は書けない筈。

『田園の憂鬱』佐藤春夫

 …最近ふと中学校の卒業アルバムを見ていて、この小説の冒頭の一文が載っていることを初めて知り、ちょっとびっくりした。いや、実際には今までも目にはしていた筈なのだが、しかし一度としてそれと意識して見たことは無かったということなのである。私も中学2年までの十数年、この小説のモデルとなった場所からそう遠くない、やはり同じような地形のところに住んでいた(丘一つ向こう。あるいは川一筋北)。なので…と言っていいか判らないが、小説中に描かれる風景や音を私は同じように見たし、感じたし、また主人公の見る幻覚や夢をも、私はまさしく同じように見、感じていたので、それらの体験と記憶が小説家の繊細極まる感性と精緻極まる筆運びとによって巧みに言い表されたことに、まるで自身の思考や体験が肯定されたかのような誇らしさを覚え、また自分では巧く表現できなかったこれらの事象が、ただ言葉の選び方と並べ方とだけでかくも正確に表現できるものかと、一種胸の空くような惚れ惚れとした感慨をも覚えた。なるほど、あの辺りまで横浜線の汽笛が聴こえてきたのか。フェアリイ・ランドの丘は何処のことだったのだろう。文中唯一「王禅寺」という地名のみ具体的に出てくる。

(2006.4.15)


仇のラーメン

 ここのところ、慢性的な運動不足およびそれに伴う体脂肪の増加を頭の中でずっと案じてきた。ただし「頭の中で」な話であって、何か他にしたいことがあれば、意識と時間はそちらに向いて、もうそれ以上この心配を解消する具体策をとるようなこともせぬまま、いたって悠長な憂慮を続けていたのである。ところが最近、今度は体がそれを訴えてくるようになった。体の方から自らを動かしてくれるよう盛んにアピールしてくるのである。求めに応じて肩を回したり、膝を曲げたり、アキレス腱を伸ばしたり、そんな準備体操程度の動きであっても、してみると、運動不足に凝り固まり縮こまった体には十分に心地好く、する意味の十分に有るものであることがよく判った。「やらねば」と、半ば義務か課題かのような意識ばかりが先行して、ずっと億劫がっていた運動というものが、案外と気持ちの良いものであることを身をもって理解できた以上、これからは義務でも日課でもなく、純粋に「必要」から、自然と体が動くようになってゆくかも知れない。

 こんな話を書くのも実はつい先日、中学来の友人が若くして急逝してしまったことによる。仔細は省くが、この突然の出来事に直面した私は、ともかくも一度、彼が「最後の晩餐にしたい」とまで言っていたラーメン二郎のラーメンを食べてみることにした。イヤ別に、ソレを意志をもって実行できなかった友人のことを想い、その彼に代わって私が食べよう―などという感傷的な計画を企てたわけではない。そんな物理的に不可能な試みを私はしない。ただ「最後の晩餐にしたい」とまで言い切った友人の最近の好みに、少しでも近付いてみたかったのである。

 ラーメン二郎は三田に本店がある。行ってみたが、すでに店じまいに入っている様子。店の中には一組客が残っているだけで、シャッターも半分閉まっていた。これはある程度予測していたことだったので、すぐに池袋東口店へと移動する。社会人になった後の友人は、むしろ池袋の方によく寄っていたようなのだ。本店よりはキレイだが、しかしまるで飾り気のない店内。店員も"サービス"というものの伴わぬ、極めて事務的な処理に終始し、片やカウンターを埋める客たちも「ごちそうさまでした!」と爽やかな余韻のひと言を残して清々しく立ち去ることのできた者はほぼ居なかった。きっと好きで食べに来ているであろうに、まるでそれをオモテに現すことを禁じられてでもいるかのような、何か抑圧された表情のない世界の中で、手渡されたどんぶりを只々薄暗〜くススっている感じである。久々に踏み入った「ラーメン屋」という空間がひどく奇異なものに感じられた。

 ココのラーメンはとにかくコテコテしたものであるというのが世間の評判で、友人たらちゃぬ氏もそれを強調して私に食べることを勧めなかった。しかし第一印象は思っていたほどでもなく、また初めてスープに口をつけたときの感想も、確かに味は濃くはあるが、でも耐えられないほどでもない―そんな感じであった。最初の数口は…。
 ところがコレが食べどススれど、まるで金太郎飴を切ったように同じ味が際限なく続くのである。こうなるとシンドイ。1日のうちに、あるいは一定時間内に許容可能な「しょっぱさ」(関東的表現に由るなら)に上限値があり、それを超えると「もう要らない」という拒絶反応を脳が発するものとしたなら、どんぶり半分も食べないうちにその許容量に達し、味覚的な飽和状態に至って、ついには拒絶の信号が点滅し始めた―というのが私にとってのこのラーメンである。普段食べ物を残すことを潔しとしない私であるが、この場合止むを得ない。「不味かったから」ではなく、この同じ味を「もうこれ以上続けて食べられない」ことを理由に半分を残さざるを得なかった。もちろん完食した場合に我が身に及ぶ悪影響も考慮してのことではある。お店には申し訳ないことをしたが。

 コレが「激辛」とか「食べると胃がスースーする」とか、そうした体を痛めていることが明白な激烈さであれば、一度食べたらしばらくはイイヤ…とか、少しは歯止めも効こうものだが、ところがこのラーメンにはそういった極端な激烈さが無い。だからその分日常的な摂取(つまり昨日食べて今日も食べるというような)を可能にし、かえって長期間かけて味覚が極端な味付けを好むような方に徐々に変化してゆく―というような良くない影響を及ぼすことも十分考えられる。何事もキメツケるのはよくないが、しかしそんな危うさを帯びたラーメンだった。実際友人がどのくらいのペースで二郎を食していたのかは判らない。判らないが、しかしスープの表面たっぷり3ミリは油が覆うこのラーメンを食べたら食べたで、毎度それに見合うだけの運動をきっちりこなし、摂り過ぎたコレステロールや塩分・脂肪分を消化・分解・燃焼させるようにしないと、食べっ放しなだけではやがて体内の健康バランスを崩すことにも繋がりかねない。食べたら動く。そして極端な偏食は慎む。だから毎日毎日ハンバーガーを食べ続ける―などというのはまさに愚の骨頂で、そんな見境のない食べ方こそ最も避けるべきと、私はそう思っている。もっともラーメンなんかよりハンバーガーの方が、よほど栄養バランスのとれた健康的な食事であるとは思うが。

 で、上の写真が、友人の寿命を"あるいは"縮めた"かも知れない"仇のラーメン。一瞬、食券でも持って行ってやろうかと思ったが…。あらためてご冥福をお祈りします。

(2006.3.21)


1月・2月に買ったCD

わかる範囲で邦題表記にした。

ボブ・ディラン/ブロンド・オン・ブロンド('66)
…買っておきながらの未聴。

ジョニ・ミッチェル/青春の光と影('69)
…「チェルシーの朝」という曲が聴きたかった。

シリータ/シリータ('72)
…スティーヴィー・ワンダーの最初の妻、シリータ・ライトのデビュー作。勿論プロデュースはスティーヴィー。1曲目のアナログシンセの音程も付かぬ低音が超絶かっこイイ!

ブラッドストーン/ナチュラル・ハイ('73)
…とろけるようなフィリーソウル。

バーブラ・ストライサンド/追憶('74)
…説明不要の名盤。本当に名曲揃い。フィル・ラモーンのプロデュース。

ジェスロ・タル/ウォーチャイルド('74)
…初めて聴くジェスロ・タル。やはり「らしく」大作主義の作品から聴き始めるべきだったか。ジャケ・センスも一段落ちるような気が。

ニック・デカロ/イタリアン・グラフィティ('74)
…大仰なバーバンク・サウンドを従えた、頼りないヴォーカル。AORと言うには時期は早い。トミー・リピューマのプロデュース。

レッド・ツェッペリン/フィジカル・グラフィティ('75)
…我がZEP探究は5作目『聖なる館』で止まっていた。「CUSTARD PIE」かっこイイ!

レッド・ツェッペリン/プレゼンス('76)
レッド・ツェッペリン/永遠の詩/レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ('76)
…発表順にじっくり聴こうと思っていたところ、どちらが先か判らなくなり同時購入。

キッス/地獄の軍団('76)
…初めて聴くKISS。代表曲「べス」はバラードだった。結局、ロックグループのヒットのきっかけが「バラード」というパターンは今も昔も変わらないのである。

ドゥービー・ブラザーズ/ドゥービー・ストリート('76)
…マイケル・マクドナルドが加入した最初の作。この作品を聴いて、前期ドゥービーと後期ドゥービーの変容の過程が、私には実によく理解出来た。世に言われるほどに無茶な変化ではない。「
イット・キープス・ユー・ランニン」収録。

ボブ・ウェルチ/フレンチ・キッス('77)
…「推賞」で紹介した「悲しい女」収録のヒット作。

トッド・ラングレン/ハーミット・オブ・ミンク・ホロウ('78)
…'72年の「SOMETHING/ANYTHING?」に次ぐヒット作。

ロバート・プラント/シェイクン・アンド・スタード('85)
…「リトル・バイ・リトル」という曲が聴きたかった。

エイミー・グラント/初めての誘惑('85)
…ゴスペルの第一人者との評があるのだけど、どの辺が?

THE WINANS/DECISIONS('87)
…クインシーに見出されたゴスペルのファミリーグループ。マイケル・マクドナルドがゲスト参加。

STEEL PULSE/VICTIMS('91)
…レゲエはよく知らないのだが、どうやら大御所的存在の方々らしい。その割にはポップな作品で(と言うかレゲエとは呼び難い)、一曲にS.ワンダーが参加。

PETER CETERA/WORLD FALLING DOWN('92)
…2曲をデイヴィッド・フォスターがプロデュース、一曲でチャカ・カーンとデュエット。

『ビバリーヒルズ高校白書』オリジナル・サウンドトラック('93)
…『ビバヒル』自体は別にファンでも何でも無いのだが、M.マクドナルドとチャカ・カーンがデュエットしているものですから…

ANGEL GRANT/ALBUM('98)
…よく知らない人なのだが、S.ワンダーが参加しているので購入。「ALBUM」という簡潔なタイトルが秀逸で、つい今後の更なる発展を祈念したくもなるのだが、しかしAMAZONでさえ新品入手が出来なかったことを考えると、どうもその後はそうでもなかったらしい。思えば確かにJ-POPに通じてしまいそうな曲もあったり…

EVA CASSIDY/SONGBIRD('98)
…映画『ラブ・アクチュアリー』に使われていたことで名前を知ったのだが、本人は既に夭折してしまっている。タイトル曲はフリートウッド・マックの名曲。

MARY J.BLIGE/MARY('99)
…正直あまりイイ声とも思わないのだが、クイーン・オブ・ヒップホップらしい。S.ワンダーの「AS」をジョージ・マイケルとデュエットしている。

ROBBEN FORD/SUPERNATURAL('99)
…R&B系ジャズ/フュージョン・ギタリスト。M.マクドナルド参加。

大滝詠一/ナイアガラ・ムーン('75)
福生と言えばコノ人。病み付きになる名盤。ヴォーカルバランスが低過ぎるのが難ですが。

ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調/カルロス・クライバー=バイエルン国立管弦楽団('84)
…観衆は舞台上のオペラよりもオーケストラピットの彼の指揮に魅入るという華麗な指揮棒さばき。研ぎ澄まされた剃刀のように鋭いアインザッツと颯爽としたドライブ感にゾッコン!

(2006.3.5)


読んだ本 2005

 遅読の私―去年1年間に読んだ本は、せいぜいこれくらい。しかも今さらながらに書くとは、何たる遅筆!この企画、昨年末に考えていたネタなのであった―

『墨攻』酒見賢一

 …ページが薄いので私でもすぐに読み終わるだろうと思い、手にした。中島敦記念賞受賞作。戦国時代の中国に起こった思想集団・墨子の盛衰の謎に迫った作品。その考証のプロセスは良いとして、小説としては私の好みに合わなかった。

『にごりえ・たけくらべ』樋口一葉

 …今ごろになってやっと読む。一行目から匂い立つような文章―こういうのを文学作品と云うのだとあらためて思い知った。格が違う。真似っ子の私は、ハンバーガー"隧"道「JACK CAFE」の回で早速真似ているのであった―(形だけネ)

『姑獲鳥の夏』京極夏彦

 …京極夏彦デビュー作。まあ何と立ち上がりの遅い小説だろう。雄弁・饒舌の陰陽師・中禅寺秋彦がその博識を披露しまくる、一応探偵モノ。映画ともども特別大きな感動を覚えたわけでも無いのだが、インパクトは強くて、その後しばらく余韻を楽しむことになる

『谷中・首ふり坂』池波正太郎

 …これまた恥ずかしながら初めて読む池波作品。なるほど、お江戸八百八町を町歩きしたくなる、興味津々の作品世界。

『風林火山』井上靖

 …2007年NHK大河ドラマ原作。筆者ご本人の面立ち同様、実に端正な、淡い筆致の戦国モノ。静かだが大きな感動。山本勘助の策謀ぶりといい、晴信の好青年ぶりといい、由布姫の薄幸の佳人ぶりといい、ドラマとしての要素が確かに揃っている。しかしコノ小説を読む限り、武田晴信は中井貴一以外考えつかない。

『四日間の奇蹟』浅倉卓弥

 …第1回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。苦し紛れの弁明が「解説」の名を借りて書かれていたが、どう斜めに読んでもミステリーではない。タイトルどおりの奇蹟モノで、良くも悪くもその期待を裏切るものではなかった。人物設定もハナからヒット狙いのような…。とは言えベートーヴェンのピアノソナタ『月光』の流れるクライマックスは、演奏時間まで緻密に計算された入魂の筆運び。『姑獲鳥の夏』もそうだったが、登場人物が特定分野の専門知識について必要以上に詳しく語る設定というのは、何かそこだけが本来のストーリーから突出しているようで、どうも好きになれない。

『天と地と』海音寺潮五郎

 …『風林火山』の余波を受け、今度は上杉方から川中島を見てみようということで現在なお読書中。

(2006.2.4)


BLUESETTE

ついに!昨夜ブルーノートでホンモノを観て来た。
長くなるので書かないけど。

(2006.1.27)


『ジョージ・マイケル 〜素顔の告白〜』

昨夜ル・シネマに観に行って来た。
長くなるので書かないけど。

(2006.1.26)


日清シスコ クリスプチョコバー

 相変わらずクリスプチョコが好きで食べ続けているのだけど、つい先日、常置している駅前のローソンに買いに行ったらナントびっくり!クリスプチョコバーなる新製品が出ていたのである。

 クリスプチョコについては、美味しいという声が多数ある一方「一回で食べきれない」という―まぁだったら残したらよいワケで、ソレ自体重大な欠陥でも無いのだが―とにかく取り扱いの点で若干の勝手の悪さを指摘する声も挙がっていた。さすが日清シスコもその辺りを敏感に感じ取ったのだろうか、今回の新製品にはパッケージにはっきりと「食べきりバータイプ」と明記されている。これこそソノ中途半端なボリュームに扱い難さを感じていた諸氏にとっての、まさしく待望の一品ではなかろうかと思い、ソノ中途半端なボリュームに別段の不満もない私がまず手を着けてみた次第。

 チョコバー状に固めたチョコフレークが2本入り。
率直に言って、

1.個別包装ゆえか、自慢のボリュームは大いに萎み、割高感は相当
  (ローソンで\126、クリスプチョコは\155)
2.フレーク一片一片が小さく、クリスプ感はいまひとつ

というワケで、クリスプチョコからイイトコ全部取っちゃったようなチョコバーになってしまい、本家の醍醐味を手軽に―という代用のお菓子には残念ながらなりそうにありません…。イイんです、今までどおりで!

(2006.1.22)


CHEZ TOOTS

 2006年最初の一枚…いつもの渋谷ハチ公口にて。強烈な反射光を浴びて落花生が青白く輝いていたものだから夢中で撮り収めたら、正面のビジョンになんと噂のトゥーツ・シールマンスが映っていた―という一枚。

(2006.1.10)


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