前回長ったらしくて皆様にはさぞ苦痛だったろうと思うので、今回は短く行きます。
まず前回のおさらいから。
要は私は、音楽によってその場その場をより劇的に演出したいのだと、こう考えていただけたら良いかと。ただ毎シーン毎シーン、コーヒーカップを持ち上げるたびに"劇的な演出っ!!"ではグッタリきてしまうので、そこで構成やメリハリといった考え方が必要になってくる―盛り上がるシーンの後にひと息つくシーンあり、泣けるシーンの後に笑えるシーンあり…の連続が映画やドラマのごく基本的な構成パターンである。BGMも同じことで、ハイテンションな曲がずっと鳴り続けではシンドイので、間に静かな曲を挟んだり、逆に落ち着きいった曲ばかりでは場の空気がどんどん沈み込んでしまうので、静寂を打ち破るかのような動きのある曲を挿入して気分転換を図ったりなど、そうしたメリハリを付けることが場を飽きさせないコツと心得る。単なる"劇的音楽の羅列"でなく、ハワイアンorカンツォーネのオンパレードでもなく、「構成」「抑揚」「メリハリ」を緻密に計算して曲順を決定してゆく―これが私の考える良い選曲、"イイ仕事"なのである。
能書きは以上にして、今回は多少実際的な話もしてゆこうと思う。
上記のようなイイ仕事ぶりを日々持続させてゆくことを前提にする上では、やはり営業時間は考えておかねばなるまいと思う。まず開店時間―出社前のオフィスワーカーたちを掴まえようと思ったら、遅くとも朝8時くらいには開けていないとまずかろう。しかし私自身、朝はメッポウ弱い方なので、ここはひとつ低血圧同士諸君にターゲットを絞り込んで10時開店の遅めモーニングでマッタリという路線にしてみようか(仮にネ、飽くまで仮に)。ないしはご主人と子供を送り出した奥さんが家事の前にちょっとひと息…でも良い。
次は閉店時間。
朝10時から12時間営業なら閉店は22時。でも夜10時で閉まる店って中途半端で使い勝手悪いんだよネ…長居はできないって感じ?だとすると23時か。23時ならついゆっくりし過ぎて終電がピンチ…!!なお客さんの悲喜劇は見ずに済むだろう。では営業時間は10:00−23:00の13時間ということに仮にしておこう。13時間=780分。780分をBGMで埋めるには、演奏時間4分の曲なら195曲。10曲収録のCDが19.5枚。休業日は週1日とすると(コレも仮)、1ヶ月の営業日数は26日。同じCDは二度かけないものとして、1ヶ月間に必要なCDの枚数は507枚か。現状の我がライブラリーを総動員したなら2ヶ月は持つ計算だな…よし。
ところで毎日13時間×26日=338時間労働などできるワケないので、私はところどころ抜けたり、休んだりすることになる。しかしそうすると"2年後カフェ"が高らかに掲げる「その場・その時に合った曲を選ぶ」作業をする人が不在になり、マニュフェストは守られないことになる。困る。いやそれ以前にだ、「一日の時の経過や空模様など常に気にしながら」のキメ細かな選曲を言葉通りにやったなら、それこそ4分に一度はCDプレーヤーに向かっていないといけないことになる。それでは店員としての役割はほぼ果たせないだろう。頭数から除外された存在になるワケだ。困る。困るしイヤだ。つまりBGMに一人ベッタリ張り付き―というのがまるで現実的でないワケだ。そこで考えつくのが、あらかじめ用意しておくという手…これについては次回へつづくことにしようかな(つづく)
2004.5.8 Y.M